この所沢の片隅に その3

(その2より続き)


 ようやくメニューも出揃ってきたところで、いよいよお待ちかねの実食タイムへ。


 楠公も出来上がってます。


 興亜パン完成体。色からして異彩を放ってます(笑)。今回は「美味しく出来すぎた」との事。


 こちらはカタバミと大根の和え物に、おから。その奥には、マイマイ新子クラスタにはお馴染みのイタドリが。


 食べ比べた方曰く、防府のイタドリに比べて、味がない。これじゃ貴伊子ちゃんの酔い覚ましにならん」とか。ねぇ、防府のイタドリがここにあったら、もしかしたらあんな事には…。


 馬鈴薯のお粥と、蛍飯。ちなみに蛍飯とは、野草と白米を20:1で炊いたご飯(お粥?)の事で、お米が蛍の光のごとく草の陰から小さく見える事から、この名がついたとか。今なら健康食品的な感じに見えなくもないけど、これが主食はさすがにキツいなぁ…。
 

 ちなみに、銀シャリなんかも用意しちょります。これが後々、予想外の活躍を見せることに(笑)。


 何はともあれ、みなさんでガッツガツいただきます。


 まあ元々が、戦時中のモノが不足している時代の食べ物を再現しようという企画なので、そんなに美味しいものが食べられるとは誰も思ってなかった(はず?)だけども、正直、全体的に塩分があまり使われてないせいか超のつく薄味で、よく言えば病院食のような、悪く言えばギリギリ食べられなくはない代物がほとんど。
 今でこそ、醤油も砂糖もケチャップも使い放題、濃い味覚に馴れきってしまっているが、かつてはこれが当たり前、むしろ、これを食べなければ生きていけなかったのだと思うと、先人の苦労がわずかながら垣間見える気がする。
 つくづく、我々は贅沢な時代に生きているのだなと、妙な実感を覚えてしまった。


 とか言ってる間に、本日のメインデッシュ、江波巻が登場。


 この乾海苔を、


 七輪の火で軽く炙って、


 好きな具材とともに巻き簾で、


 巻く!!


 完成。本当はキャンディーの包みよろしく、両サイドを捻って綴じるんだとか。巻き寿司みたいだけど、ご飯は普通のお米で、本来は具もいれないんだと。それでもこれが、ビックリするぐらい美味い!!


 もはや当初の目的を忘れて、立食パーティー状態に(笑)。いやでも、本当に美味いんだって!!


 そしてカマドで炊いた銀シャリ投入で、参加者のテンションはマックス。お米って、それだけで立派なご馳走なんだと誰もが再確認した瞬間だった。


 小生が持参した広島菜2種も、瞬く間に完売。監督「一袋でいいです」と仰られたので、とりあえず普通のと古漬けを一種類ずつ買ってきたけど、やっぱりもう一袋買ってくればよかった。当然、ご飯との相性はバツグンです。



 さておき、その傍らには、作品当時の貴重な物品が。



 当時の婦人雑誌。ぶっちゃけ、見た目より遥かにいいお値段です(笑)。中には、例によって国民一億火の玉で〜、とか、残虐非道なる鬼畜米英どもを玉砕し〜、とかお決まりのフレーズが。今でこそ、かなり厨二入ってます?ププッってな感じに映ってしまいかねないけども、この頃はみんな、きっと本気になってこういった事に取り組んでいたんだろう。思想の違い、認識の差、と言えばそれまでだが、少なくとも、我々はこういった方々の尊い犠牲と、並々ならぬ努力と尽力の上に立っているに違いない。
 「英霊」とはすなわち、戦争で死んだ兵士だけでなく、この戦争に関わった全ての人々を指すのではないかと、小生は思う。

 つーか、溶接する時は面を被れよ。ガスだから紫外線はでないけど、火花散ったらヤケドするぞ(台無し)。

 さて、イベントも一通り終え、参加者全員で後片付け。その後、帰宅組の方々とはここでお別れをし、お泊り組はまったりゴロゴロしたり、濃いお話しに花を咲かせたりと、それぞれの時間を過ごす。小生はと言えば、長旅の疲れもあって、畳の上にゴロンとなった途端意識が飛び、そのまましばらく熟睡。


 目を覚ますと、風呂の準備をするというので、手伝う事に。やはり戦争当時を思わせる、五右衛門風呂が。


 ここで薪を燃やして、風呂を沸かします。うちの親父は子供の頃、山からマツボックリや小枝を拾ってきて、薪代わりにしていたそうな。まあ、木一本からわざわざ切り倒すの、クソ大変だしね。そもそも薪って、切り出してから一年ぐらい乾燥させないと使えないんじゃなかったっけ?確か。


 ちなみに、ここに給湯器のパネルのようなモノが見えるのは、目の錯覚です。ですったら!!


 で、そのあとは、宿の方が用意してくださった鍋を囲みつつ、持ち寄った酒をしこたま飲み、〆には小生の持ち込んだマルタイラーメンをぶち込み、そしてまた酒を呷るという、カオスな宴に突入。さらに、監督ご自身による解説付きのギャラクティカ鑑賞会という、この上なく贅沢なひと時を過ごさせていただ…くはずだったのだが、不覚にもここで小生は、日本酒とワインと電気ブランのチャンポン、及び寝不足と疲労が祟り、あっさりと夢の中へ。今思えば、これがいけなかった。

 朝、これまで経験した事のない頭痛と吐き気で目が覚めるも、視界がグルグルと回り、歩くのもおぼつかない状態。ついには、あまりの気持ち悪さから、外でリバースする始末。人生二度目となる、強烈な二日酔いに苛まれてしまった。
 ために、せっかく用意してくださった朝食にも一切箸を付けられず、周囲が布団を片付けている間も、一人コタツで横になったままウンウン唸っているという体たらく。自分の肝臓を過信しすぎていた点も含め、まったく情けないやら恥ずかしいやらで、しばらく人前で酒は飲むまいと、心に固く誓った。

 その後、めでたく会は終了。水をがぶ飲みし、歩き回ってムリヤリ代謝を上げるという、極めて強引な方法で何とか回復したところで、みなさんに別れを告げ、愛車に乗り込む(一応、酔いは覚めているので飲酒運転にはならない、はず)。来週、江波でお会いした時は改めて謝罪しようと心に決めつつ、途中のコンビニでソルマックと烏龍茶1Lを購入、ダメ押しで強制排出を試みながら、一路我が家へと車を走らせる。

 が、ここでも小生、またしてもトンでもないチョンボをやらかしてしまう。



(続く)