「ヌイグルマーZ」感想
大槻ケンヂ率いるロックバンド「特撮」の楽曲「戦え!ヌイグルマー」を基にした小説「縫製人間ヌイグルマー」を、「電人ザボーガー」の井口昇監督、中川翔子主演で映画化。
まったくいつもの井口クオリティ。薄っぺらいストーリーとムリヤリな展開に加え、寒すぎるギャグセンスに二昔前のような特撮映像の数々。監督の人脈をフルに使ったのか、阿部サダヲ氏や市道真央らムダに豪華な出演陣はさておくとして、ロケ地も見るからにその辺のビルか街中というお手軽さで、全てにおいて企画モノAVのような安っぽさとチープ観が満載(笑)。「和製エド・ウッド」に恥じない、相変わらずの酷い出来に、別の意味で笑いを堪えるのに必死になってしまった。
まあしかし、それでもこうして大手の配給会社で映画を撮らせてもらっているのだから、どこかに需要があるのだろう。確かに、ゴスロリ女がぬいぐるみヒーローに変身して、阿波踊りゾンビやらオッパイからビームを繰り出すビッチどもと戦うなんて物語、まともな映画人なら企画書の段階でやんわり拒否されるのが関の山。もし仮に三池崇史監督辺りが引き受けたとしても、あのピンク色のぬいぐるみスーツがムッキムキかピッチリセクシー仕様に、猫ひろし演じる敵役も、VFXバリバリ、スチームパンク全開の超巨大超凶悪モンスターになり、この倍以上の予算がかかったに違いない。
それはそれで観てみたい気もするが、非常にバカバカしい内容ながら、まがいなりにも一本の映画としてしっかりと仕上げてくる技量は、評価に値すると言えなくもない。
とはいうモノの、じゃあ人に勧められる作品かと問われれば、ぶっちゃけ「ノー」で、完全マニア向け、こういうものだと納得した上で楽しんでくれる人向けと言わざるを得ない。この独特の「井口ワールド」を享受でき、且つ、オーケンの大ファン、または予算の大半をつっこんだであろう、ムダに出来のいいヌイグルマーと敵役のスーツと、しょこたんのヌンチャクさばきと、武田梨奈の空手アクションと男装に金を払える人以外は、DVDを待った方が得策かと思われる。
こういう映画も、たまには必要なんだろうか。少なくとも、低予算でコンスタントに映画が撮れる人材は、何かと重宝されるのかもしれん。とりあえず、今回はこんな感じで。
☆☆★★★++
しょこたんの身体を張ったアクションに、おまけの星2つプラスプラス!!
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