「エンダーのゲーム」感想
オースン・スコット・カード原作の伝説的SF小説「エンダー」シリーズの第1作を、「ウルヴァリン: X-MEN ZERO」のギャヴィン・フッド監督、「ヒューゴの不思議な発明」のエイサ・バターフィールド主演で映画化。
特別な才能をもった少年・エンダーが、大人達の思惑に翻弄されつつも、恋や友情、ライバルとの衝突と様々な経験を経て、艦隊を指揮するコマンダーへと成長していく過程、そして後に訪れる悲劇を描いた物語で、率直に言えば、典型的な少年の成長譚にしてビギンズストーリーといった感じ。
細かいSF考察については専門家に任せるとして、多分の既視感、テンプレ観はあるものの、原作の発行が四半世紀以上前、加えて後のSF作品に多大な影響を及ぼしたという点を考慮すれば、むしろコチラが元祖に近いのかもしれない。
おそらく、当時の特撮技術では不可能だったと思われる、無重力空間での模擬戦、及びクライマックスの艦隊戦も迫力で、まさに近未来のゲーム画面を観ているよう。「マイノリティ・リポート」よろしく、モニターにかざした手の動きで戦地に指示を出すアクションは、見たら一度真似したくなる事ウケアイ。XBOXのキネクト対応で、こんな戦略ゲームが出てくれんかなと、本気で思ってしまった。
全体的に観ればよくまとまっており、それなりに楽しめる出来なのだが、やはり最大のネックはその上映時間。それも、「長すぎる」のではなく、「短すぎる」点にある。
これだけの壮大な物語をきっちりやるには、最低でも3時間、理想を言えば前後編で計4時間弱はほしいところ。もっとも、そんな映画をわざわざ観に行く酔狂な客は、小生を含め数えるほどしかいまい。まして、一部で伝説的な作品とはいえ、その他にとっては「ナニソレ?」のはず。そんなリスクを犯してまで、超長編SF大作を撮るチャレンジより、要点だけを集めてできるだけコンパクトにした方が客受けはよいと判断するのは、致し方のない事と察する。
が、そのためか話しの流れがとてつもなく早まり、ダイジェスト的になってしまっているのは、正直うまくない。いきなり身も蓋もない事を言ってしまうが、これはいつぞやハンガーナンタラのように、映画化には向かない作品だったのではないだろうか。原作がこの後どうなっていくかは存じ上げないが、個人的にはこの内容なら、全12話の1クールアニメがちょうどよいボリュームであるように思える。
いかにも続編ありますよ的な終わり方だったが、あの調子だとエンダーくんは某ダース・ベイダーのような存在になってしまうのだろうか。なるべく早く撮影に入らないと、主演の子がぐんぐんデカくなって、子役ってムリあるやろという年になってしまうので、その辺ご注意願いたい。その前に、某ライラよろしくシリーズ自体が撮影中止にならない事を祈るべきか。
はい、今回は超簡単に。
☆☆☆★★
悪くはないと思うんだけど…、星3つ!!
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