「綱引いちゃった!」感想
「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」「なくもんか」の水田伸生監督、「八日目の蝉」の井上真央主演。大分県大分市を舞台に、市のPRのために競技綱引きをする事になった市役所広報課の女性職員と、給食センター廃止撤回を条件に全国大会を目指す職員達の奮闘を描く、スポ根コメディ。
予告を観れば大体のストーリー展開が分かってしまう、この手の映画にありがちな内容。こういう作品が好きな人もいるだろうし、それなりにいい話だとは思うものの、正直、他と比べて突き抜けた要素がなく、よく言えば定番中の定番、悪く言えば没個性的に仕上がってしまった観は否めない。
確かに、競技綱引きに参加する事になった、通称「綱娘」の面々それぞれが抱える問題に、メンバーや周囲の人々が少しずつ働きかけていく事で絆が深まり、それらがクライマックスに繋がっていくという構図はベタだが面白く、特に子を持つ母親、あるいは同じような悩みを持つ人には感涙モノだと察するが、一つ一つのエピソードのかみ合わせがよろしくないのか、点の点を繋ぐ線が若干弱い。
あくまでチームとしてまとまっていく姿を描く事に終始し、その過程で営まれるドラマにのみ特化したとの考えられるが、井上真央演じる主人公と、松坂慶子さん演じるその母親にしてチームメンバーとの関係、または本作一番の泣き所であろうシングルマザーの家庭問題等、もっと掘り下げても良かった気が。
ネタバレ覚悟でさらに付け加えるなら、上記の点を踏まえれば、あのブツ切り感溢れるラストも多少納得できるとして、ならばせめて風間杜夫氏演じるアホ市長がその後どうなったのかも含めた、何かしらのカタルシス、例えば佐藤二朗さん演じる秘書が、エンドロール前にでも「まあ前の市長の時も、ほとんど秘書の私が動いていたようなものだからね。ハッハッハッ」と市長の椅子でふんぞり返ってるシーンの一つもほしかったところ。
冷静に考えれば、小生が大好きな「書道ガールズ!!」と構図的にほとんど同じなのだが、向こうがピチピチの女子高生で、コチラがオバハンとブーちゃんと元カレーライスの女である点を除いても、気持ち的にもう一歩、胸の真ん中を刺激してくれる何かがあれば。そういう意味では、非常にもったいない。
まあとはいえ、定期的にこういった映画が製作されるという事は、それなりに需要があるという事なのだろう。観る人によっては大絶賛でも不思議ではないが、個人的にはちょっと食傷気味かなと。
ところで疑問。物語中盤、鼻血を出して蹲った石塚英彦氏に声をかけた女性は、結局誰だったのだろうか。まさかブヨンセもといメンバーのポッチャリか?うーん、良く分からん。
☆☆☆★★
てか、九州男児=長渕ってイメージ、何とかならんのか?その昔、福岡出身の知人がものすごいキレてたぞ。星3つ!!
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