「劇場版あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」感想


 2011年放送、日本中が涙した大ヒットアニメを再編集&新規カットを追加して映画化。最終回から一年後、超平和バスターズのメンバーそれぞれの様子を、めんまに宛てた手紙とともに描く。

 後日談という形を取りつつ、各メンバーが当時を振り返りながらそれぞれの胸の内を語る、総集編としての側面も併せ持つ本作。テレビシリーズでは語られなかった細かい気持ちの変化と掘り下げ、特にめんまから観た物語とその心境に焦点を当て、より深く本作を味わうための仕様となっている。
 途中、エピソードが前後する場面や、中には本編を観ていないと理解不能なシーン(ゆきあつの女装等)も多々あったりと、決して初見様に優しい作りとは言えず、正直これまで本作を応援してくれた人達へのファンムービーといった意味合いが強く、さらに言うなら、本編の泣けるシーン、具体的には最後のかくれんぼの件辺りを集中的に編集、かなり意図的に、作為的に、半自動的に客を泣かせる気満々の思惑が垣間見える「ずるい」構成に、ファンならずとも苦言の一つも呈したくなる人もいるだろうと察する。

 まあとはいえ、全11話をただつなぎ合わせただけの総集編では面白くも何ともなく、かといって一度綺麗に終わった物語の続きを、わざわざムリヤリに描く必然性もない。本作の余韻と感動を壊さず、しかしささやかな「再開」をもたらしてくれるモノとしては、この方法がおそらくベターであり、最善であったと個人的には思う。

 それにしても、今改めて考えてみる。めんまにとって、本当に幸せな結末とは一体どんなものだったのだろうと。めんまの不幸な死によって、罪の意識と自戒の念を背負う事になってしまった超平和バスターズの面々。汚泥のごとく膿が侵食し、破裂しそうなその胸中を、彼らが必死に押さえ込んできたように、結果的に大好きな友達に業を抱かせてしまっためんまもまた、同等かそれ以上の痛みと苦しみを抱えていたに違いない。
 そんなめんまを成仏させるため、衝突し、感情をぶつけ合い、滑稽なほど転がり、這い蹲り、泣き崩れながら、じんたん達は心を一つに再集結する。だが本当は、自分という亡霊から彼らを解き放ち、あの日で止まったままの時間を動かしてあげる事こそ、彼女の願いだったのでは。そして何より、自分を過去ではなく、みんなの思い出として、心の一部となって永遠に生き続ける事こそ、望んだのではないだろうか。
 人が死ぬと、魂は肉体を離れ、宇宙へと放たれるという。宇宙は全ての人の心と繋がっており、その人を想ってくれている人、愛してくれた人達の元へと旅立ち、その心と溶け合って一部になると、昔誰かに聞いた覚えがある。だから、例えば故人が哀しむような事をすると胸が痛み、喜ぶ事をすると自分も嬉しくなるのだとか。
 実体を持たない彼女が、その後の彼らとともに生きる事はできない。やがて大人になり、メンバー同士あるいは他の人と結婚し、家庭を持ち、子供が生まれ、いずれ天に召されようとも、めんまはただ、そばで見ている事しかできない。それはきっと、何より孤独を知り、恐れるめんまにとって地獄にも等しい、耐え難い時間のはず。
 実は誰よりも傷つき、慟哭しながらも、これからを生きる仲間達の心を救おうとした彼女が、最後の最後に望んだ小さなわがままは、大切な友達や家族と一つになり、美しい記憶として宿り続ける事。そしてそれこそ、彼女にとって唯一にして最良の結末だと、小生は信じたい。

 …うん、また何か、真面目にアホな事書き過ぎた。ちょっとふざけてアホな事書いて中和しよう。あなる、超かわいいよあなる!!いろんなところ揉みしだきたいです!!ビンカンなところクリクリしてビクンビクンさせたいですッッ!!(超最低)

 さておき。
 さすがにテレビシリーズ未見のまま、コチラを先に観ようなんて人はそんなにいらっしゃらないとは思うが、やはり多少なりの予備知識は必要かと。一応、ストーリーラインを寝ないで追っていけば、大体の事は分かる作りにはなっているものの、できればアチラを制覇した後、最低1ヶ月の熟成期間を置いてから本作に臨んでいただきたい。その間に上映期間が終了してても、当局は一切関知しませんが(エー)。
(余談だが、小生のツイッターのフォロワーさんのうち二人の方が、まったくの初見で本作を鑑賞され、ともに大号泣、さらに一人の方がBlu-ray全巻を買い求められたそうな)

 あんまり感想になってない気もするけど、とりあえずそんな感じで。


 ☆☆☆★★++

 ちなみに小生の一番の泣き所は「じんたん、カッケェんっすよ」のシーンだったりする。何故かは分からんけども、今もタイプしながら泣きそうになった(笑)。しかしホンマに何で?星3つプラスプラス!!