「ポイントブランク〜標的にされた男〜」DVDで視聴


 小生が事あるごとに人に薦めている、フランスの傑作アクションサスペンス「この愛のために撃て」の韓国リメイク。

 とあるサイトでは「オリジナルを越えた、稀な例」などと大絶賛されていたので、それなりに期待していたのですが、正直、そう思える部分は一つもなく。
 オリジナルが1時間半未満の尺の中に、物語に必要なパーツを無駄なくコンパクトにまとめながら、ごく普通の男が愛する妻のために奔走する、重厚な人間ドラマとしての側面と、善悪が入り乱れるキャラクターポジショニングの構図的美しさを実現した、それこそ稀有な作品だったのに対し、一部エピソードの改変や追加要素により、アジア特有の何とも言えないゴチャゴチャ加減、あるいは余計な雑味が加えられ、バランスが悪くなっている印象を受けました。
 何より、主人公がスマートな爽やかイケメンにコンバートされたのは、いただけません。本作は、何の変哲もない、そこいらにいるようなポッチャリ中年だからこそ味があるのであって、また成り行き上タッグを組む事になる殺し屋との対比の面白さも生まれるのだと、断じます。向こうに同じような容姿で、主役を張れるような俳優がいなかったのかもしれませんが、そこは絶対に替えてほしくなかったところです。

 とはいえ、元がよいので内容そのものはそれなりに面白くなくはなかったと、一応フォローしておきます。が、韓流ファンの方には申し訳ありませんが、ぶっちゃけこちらを先に観ていたら、オリジナルの方を観ようとは、思わなかったかと。


 しかし本作、当ブログの感想(アメブロ時代)でも書きましたが、頑張ればそんなに予算もかかりそうにありませんし、日本でもその気になればリメイクできるかもしれません。主演は、やはり体系的に阿部サダヲか、濱田岳くん。殺し屋役には、松田賢二さんなんてどうでしょう。
 彼らを追う刑事と「アイツ」は、やはり堤真一さん天海祐希さんで。あえて、二人の性別を逆転されるのも面白いんじゃないか、とか思っとります。
 それから、個人的にはオリジナル要素として、敵側にも一人、こちら側(?)と相対になるキャラクターがいてもいいかなと。それも、出川の哲ちゃんバカリズム等のお笑い系の人が、ものすごく凶悪で人間のクズみたいな闇の便利屋を演じる、とか。


 まあ問題は、そんな映画を誰が撮るのか、そして誰が観に来るのか、ですが…(エー)。

この愛のために撃て [ ジル・ルルーシュ ]
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