「パディントン」感想


 1958年の初出版以来、世界40か国以上で愛され続ける、マイケル・ボンド原作の児童文学作品を、ハリー・ポッターシリーズのデヴィッド・ハイマン製作「007スペクター」ベン・ウィショー主演(CV)で映画化。

 ペルーからはるばる、家を探しにロンドンまでやってきた、紳士だけどオッチョコチョイな子熊・パディントンが巻き起こす、涙と笑いの大騒動を描いた本作。
 率直な感想を言うなら、お上品なアルフ所ジョージさんが吹き替えしてたアレね)といった具合。どこかの中年アル中テディベア(元猿岩石が吹き替えしたアレね)とはまったく逆ベクトルの、ムダな小難しさや形ばかりの大人向け要素のない、家族みんなで安心して楽しめる、ドタバタ&ハートウォーミングファミリームービーと評したい。

 とにもかくにも、主人公パディントンの愛らしさ、可愛らしさは問答無用でジャスティス(笑)。慣れないロンドンでの生活に、思いもよらない行動で周囲を唖然とさせたり、あるいは驚かせたりと、大真面目に大ボケをかます可笑しさもさることながら、物腰柔らかい紳士的な言動と、時折見せる獣らしさのギャップがまたグッド。

 彼に振り回されながらも、次第に家族の一員として受け入れるブラウン家とのやりとりも面白く、特に中盤と後半の潜入劇は、若干「ナンデヤネン」と思いつつも、なかなかにハラハラドキドキさせてもらった。

 彼らに限らず、キャラクターのポジショニング、及び使い方が非常にうまく、中でもニコール・キッドマン演じるミリセントは、彼女の美貌と抜群のスタイル、そして悪役映えする立ち姿が見事に相乗し、圧倒的に悪くておっかない、しかしどこかドジっ子臭漂う、オチも含めて憎めない人物として、物語にいいアクセントをつけてくれた。
 元旦那の代表作を彷彿とさせる、身体を張ったセクシーワイヤースタントにも注目(笑)。

 エピソード一つ一つがきっちり消化され、伏線もほぼキレイに回収。確かに、やや強引で駆け足な部分、ご都合的に思える点も多少あるとはいえ、全体的なバランスが極めて良く、何より観ていて飽きず、且つ疲れないストーリー構成は、まるでこの手の映画の教科書のような素晴らしさと断じたい。

 しかし、ミリセントパディントンを剥製にしようと追いかけ回していたように、他の学者達も彼と彼の種族を狙っている可能性もあるのでは?
 もし続編が製作されるなら、そういった連中が大挙してロンドンにやってくる話になると、勝手に予想してみる。または、パディントンの就職とお嫁さん探し、とかね(笑)。

 余談だが、日本語吹き替えを担当した松坂桃李くん。既に多くの声優経験があるとはいえ、元々の演技に対する勘がよいのか、想像以上にパディントンの声にマッチしていた。このまま声優業と並行しても、十分に活躍できると察するので、いつか相葉裕樹くんとの声の再共演、なんてのも期待したいところ。もちろん、顔出しの方も引き続き応援しておきたい。


 ☆☆☆★★+++

 つーか、ルーシーおばさん達はあの大量のビンを一体どこから持ってきたんだ?星3つプラス3つ!!

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