「チャーリー・モルデカイ 華麗なる名画の秘密」感想


 キリル・ボンフィリオリ原作の同名小説を、「シークレット ウインドウ」デヴィッド・コープ監督パイレーツ・オブ・カリビアンシリーズのジョニー・デップ主演(兼製作)で映画化。
 スペイン最大の画家フランシスコ・デ・ゴヤの幻の名画を巡って、ちょび髭の英国紳士チャーリー・モルデカイが世界中を駆け巡るアクションコメディ。

 金は恐ろしくかかってるだろうし、絵も物凄く豪華なのだが、いまひとつパッとしない内容。いろんな意味で底が浅く、言葉は悪いが全体的にちゃちでユルい印象を受けた。

 まず何より、主人公であるチャーリー・モルデカイのキャラクターが大して面白くない。ちょび髭を愛する破産寸前のヘタレ英国紳士という設定もさる事ながら、作中もほとんど役に立つ事はなく、ひたすらにしょーもないブリティッシュジョークか、奥さんへの愛の歌を並べるばかり。多少、活躍する場面もあるにはあるにせよ、正直演じるのがジョニデでなければ、ただただ鬱陶しいだけのKYキャラだったに違いない。
 あれではいっそ、グウィネス・パルトロー演じるチャーリーの優秀で美人の嫁さんを主人公にした方がよかったのではと思ってしまった。彼を享受できるかどうかで、本作の個人評価は激しく変動すると察する。

 また、その嫁さんの髭アレルギー、及びポール・ベタニー演じるチャーリーなぜか忠誠を誓う使用人兼用心棒ジョックの超絶倫、その他登場人物の設定も、物語にはほとんど活かされず。例えば、敵の女といつの間にかそういう関係になり、絶体絶命のピンチの時に「ダメ!もうアナタ以外では満足できない身体なの!!」と思いがけず助けられてしまう、ぐらいの展開はあってもよかったように思う。

 ストーリー自体はそれほど悪くなく、ところどころに笑える場面、スリリングなシーンもあったものの、主要キャラの扱いがそんな感じなので、あらゆる面でぶつ切り感が漂う。言うならば、一発ギャグの寄せ集めのようなまとまりのなさを覚えてしまった。
 この手の冒険アドベンチャーは大好物だし、また昨今は費用の問題か、あまり製作されなくなってしまったジャンルなので、できれば頑張っていただきたかったのだが…。

 しかし毎度の事ながら、ジョニデは変なメイクをおかしなキャラが当たり前になりすぎて、ちょび髭ぐらいでは誰も動じなくなってしまった観があるな。今後のためにも、一度変キャラを封印し、それこそごく普通の父親役などを演じてみてはどうだろうかと、勝手な老婆心を呈しておく。
 そういや、彼が最後にスッピンで出演した作品って、何だっけ?


 ☆☆☆★★−−

 つーかなんぼ幻の名画でも、世界の危機なんて大風呂敷はもういいよ。星3つマイナスマイナス!!


 と思いきや、またここでも変メイクを…。まあ、観に行くけども(エー)。