「ベイマックス」感想
日本人ヒーローチームの活躍を描いたマーベルコミックのアメコミ作品「ビッグ・ヒーロー・シックス」を、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオズが長編CGアニメ映画化。
ちなみに、ドラゴンに変形しちゃうバリバリ戦闘ロボなベイマックスをはじめ、原作とは設定を大きく変更しているとの事。作中では大人しめの眼鏡ガールだったハニーレモンも、原作ではボインボインのマーシャルアーツの達人、ゴーゴータマゴは少年院行き免除を条件に加入させられた、ええ乳した元ヤンだったりする。
また、初期メンバーのシルバー・サムライとサンファイアは、20世紀フォックスが「X−MEN」シリーズの権利を持っているため、参加できなかったとか。ディズニーナイズされたハラダさんも、ちょっと見たかったが(笑)。
さておき。もはや原形を留めないほど、ファミリー向け仕様に改造された観こそあるが、そこは天下のディズニーアニメーション。ヒーローチーム結成秘話という体裁を取りつつ、主人公ヒロが亡き兄の作った介護用ロボ・ベイマックスと、兄の友人達との出逢いと交流を経て、成長し、心の傷を癒して行く過程を、温かなタッチで描いている。
一見して、ヒロの一連の行動は義憤に基づく行いのようで、実はまったく個人的な復讐心と、一方的な思い込みによるものである事に気づく。例えば、彼の開発したマイクロボットを追って、謎の工場とカブキマスクの男を発見するエピソードは、実際、見つかったあとに襲われはしたものの、相手が何者で何が目的かも分からないまま、推測だけで動く彼の幼さ、思慮の浅さを物語っている。
結果的に、カブキマスクが兄の死に関与し、よからぬ事を企んでいると判明するが、ともすればその頭脳と若さゆえに、ヒロ自身が復讐に取り憑かれたヴィランになりえたかもしれない。事実、作中にもそれを示唆するシーンが登場するが、その意味でヒロとカブキマスクは非常に近しい存在、いわば悪に染まった未来の姿とも言える。
本作はヒーローのビギンズストーリーでありながら、単に悪をぶっ倒し、懲らしめるに留まらず、ヒロを含め深く傷ついた人の心のケアという側面にウェイトを置き、真に人を救うとは何かを問う、極めて高度な人間ドラマであると断じたい。
ベイマックスに関しても言及したい。ロボットである彼(?)は、実は終始極めて機械的に、その場に応じて最適と思われる行動と発言をしているだけにすぎないのだが、その風船のようなふわふわのボディに、日本の鈴をモチーフにしたという愛嬌のある顔、そしてユーモラスな動きが、どこか天然ボケ然とした面白おかしい、しかしこの上ない優しさを感じさせる要因となっている。
並のシナリオライターなら、中途半端なコメディリリーフか、はたまた突然人格が目覚めたかのように振る舞い、最後はイイハナシダナーでまとめるところだが、徹頭徹尾そのスタンスとキャラクター性を変える事なく、一つの物語として破綻する事なく構築させた手腕は、もはやお見事を通り越して脱帽モノ。正直、日本アニメの十八番というべきこの手を手法を向こうにやられたら、ますますコチラは立つ瀬がないなと、妙な不安すら覚えてしまった。
日本の街並みとサンフランシスコを合体させた架空の都市「サンフランソウキョウ」の景観も楽しく、ディズニーらしいカートゥーン的描写と、戦闘シーンのアクションもグッド。聞けば、国によってポスターの惹句を変えているそうだが、それだけ様々な側面、上記した以外の観方、楽しみ方が出来る、非常に稀有なエンターテイメント作品。
日本も、未来の世界の猫型ロボットなんてCGアニメ化してる場合じゃないぞ、オイ!!
☆☆☆☆★
あと、キャスおばさんが何か微妙にエロくてステk(以下略)、星4つ!!
ちなみに、ベイマックスとコレは同じデザイナーさんなんだそうな。ジョーイきゅんかわいいよジョーイきゅん。
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