「アップルシードアルファ」感想


 士郎正宗の原点ともいうべきSFコミックの前日譚を、前作APPLESEED」「EX MACHINA」を手がけた荒牧伸志監督により三度劇場用長編CGアニメ化。

 ちなみに、本作はこれまでの続編ではなく、独立したリブートシリーズとの事。そのためか、過去二作ではセルルックだったCGが、アメリカ市場を意識したであろうリアルな作風にシフト。個人的には、セルルックこそ日本のCGアニメがピクサーに対抗しうる唯一の武器だと思っているが、そこは天下の荒牧監督、(妙な偏見さえなければ)本場ハリウッドにもひけを取らない仕事ぶりで、納得の動きを見せてくれる。
 一部、戦闘シーンの銃の構え方がカッコ悪い等の意見も聞こえるが、逆にそこが熟練の傭兵という振る舞いに見え(士郎正宗先生も、枠外の説明文にそんな事を細かく書いてらしたような気が)、なかなかに説得力のある場面に仕上がっていると感じた。

 が、残念なことに変にアメリカナイズされてしまったせいか、絵に対して脚本があまりにも弱い。というより、この壮大なサイバーパンクの世界観に対し、シナリオがあまりにミニマムにまとまり過ぎていると言わざるを得ない。
 基本、主人公であるデュナンブリアレオスのコンビを中心にしつつ、周囲の関係、繋げ方が少々希薄で、特に物語のキーパーソンとなるアイリスは、尺の問題もあるにせよ「えっ、いつの間にそんな仲良くなったの?」といった具合で、ために後半、デュナンが落ち込む場面も、やや唐突に感じられてしまった。

 また、主要登場人物が全部で10人足らずと、モブすらほとんど画面に出てこない状況に、何か作り物めいた(いや、作り物なんだけど)、言うならば巨大なジオラマの中の世界という印象を受けてしまった。元々、大戦で荒廃した無人都市という設定ではあるにせよ、街を牛耳っている双角のような者がいるなら、もう少しやりようはあったように思える。それこそ、オリュンポスを目指す難民の集団とか。

 脚本は日本の方が優れている、なんて自惚れこそしないが、やはり物語に適した、理に適ったシナリオというものはあると察する。個人的に過去二作は、日本アニメ史においてターニングポイントとも言うべき重要な役割を持つ傑作だと断じているだけに、非常に期待していたのだが…。

 まあとはいえ、どうやら続編も製作する気満々のようだし、何だかんだで荒牧監督を応援したいので、今作がいい形で繋がる事を切に願う。それから余談としては、乳輪デカそうだけどツンと張ってるデュナン「正宗乳」は非常によかtt(以下略)。


 ☆☆☆★★

 つーか新作出るたびに、主演声優コロコロ変えるの止めない?諏訪部さんのブリが悪いとは言わないけども…。星3つ!!