「イコライザー」感想


 1980年代にアメリカで制作されたテレビドラマザ・シークレット・ハンター」を、エンド・オブ・ホワイトハウス」のアントワーン・フークア監督「フライト」デンゼル・ワシントン主演でリメイク映画化。

 ちなみに、リメイクとはいうものの、ストーリー自体はまったくオリジナルとの事。

 さておき。内容としては、みんな大好きヒット・ガールことクロエ・グレース・モレッツたん演じる美少女娼婦を救うため、デンゼル演じる超几帳面でおせっかいな謎のホームセンター従業員が、ロシアンマフィアと悪徳警官とチンピラどもをたった一人でフルボッコにしていく、痛快無双ストーリー。
 とにかく、デンゼルが有り得ないぐらい強いの何ので、身の回りのモノを駆使して、悪漢を片っ端から屠っていく様は、カッコいいを通り越して笑いが出るほど。世界有数のマフィアを単体で殲滅しちゃう戦闘能力には、正直「んなアホな」と思えてしまうものの、妙に納得できる気がするのは、偏に彼の卓越した演技力ゆえか。

 また、彼が完全なる善意から、行動に至るまでの過程と心境を丁寧に掘り下げる事により、単なる頭空っぽドンパチアクションとは一線を画す、例えば贖罪や悪政への憤怒を盛り込んだ、どこかしらインテリジェンスと潔癖性を感じさせる物語に仕上がっている点も高評価。どうしようもない暴力を制するため、あえてそれを遥かに凌駕する暴力で対抗せざるを得ないとする矛盾と歯痒さを、諦念すら思わせる突き放したようなキャメラワークで表現している点にも注目したい。

 予告動画を観る限り、元々そういう仕事をしていた人が、たまたま何らかの事件に巻き込まれると想像していたが、実際にはそういう仕事を始めるきっかけ、いわばビギンズストーリーという印象。作品の評価を著しく下げるものではないとはいえ、日本の映画広報関係者の、相変わらずのgdgdっぷりには軽い眩暈と殺意を覚える。そもそも、19秒とか全然関係ないじゃん。あの映像作ったヤツは、本当に本編観たのか?

 少し気になったのは、結局どうして彼が前職を辞めたのか、それと亡くなった奥さんとは何かしら関係があったのか、とうとう語られなかった事。作中の会話や話の流れを見ると、何となく想像つかない事もないが、謎を残しておいた方が、彼の強さにより信憑性を持たせられると考えたのだろう。聞けば本作、シリーズ化も視野に入れているそうなので、もしかしたら続編でその辺りが語られるかもしれない。まあ、楽しみにしておこう。


 前半の展開がやや冗長なのと、上記した広報のクソ弩下手加減を除けば、ハチャメチャさと適度な緊張感がうまく調和した、意外とマイナス要素の少ない作品。2時間強と少々長めだけど、敵役も個性的な愉快な面々だらけで、中盤以降はほとんど退屈なし。デンゼルにしては珍しく、乗り物をあんまり壊さない点にも注目(エー)。


 ☆☆☆★★++

 「イコライズ(平均化」=世の中を正しく平等にする者って意味かしら?星3つプラスプラス!!