「荒野はつらいよ 〜アリゾナより愛をこめて〜」感想


 「テッド」セス・マクファーレン監督・製作・脚本・主演。西部開拓時代の田舎町を舞台に、ヘタレな羊飼いの青年が、なぜか西部一の極悪人と対決する事になる様を描く、ウエスタンコメディー。

 タランティーノロドリゲスに代表される、いかにもな映画ヲタクが趣味丸出しで撮ってしまった、悪趣味、悪ノリ、悪ふざけ全開な作品。
 まあとにかく、全編に渡ってブラックジョークとお下劣ギャグのオンパレード。冒頭から意味もなくバタバタ死んでいくモブキャラ達、一日10人以上の男とS○Xする超ヤリ○ン売春婦と、そのDT彼氏、さらにはウ○コやオシッコなど小学生レベルの下ネタまで飛び出し、「96時間」の最強オヤジことリーアム・ニーソンに至っては、丸出しの尻にお花まで生けられる始末。
 はっきり言えば、観る人をものすごく選ぶ内容で、好きな人はとことん好きだろうけど、ダメな人は地平線の彼方までドン引きするに違いない、そんな出来。

 まったく個人的な見解を述べるなら、確かに部分ごとでは多少笑えたが、全体を通すと「天丼」を含め、出オチ的一発ギャグのパッチワークという観が否めず、正直「テッド」の頃のようなキレの良さを感じられなかった。
 物語としては矛盾や淀みなく、きっちり一本スジは通っているものの、シリアスとコメディーのバランスが悪く、どうにも白けてしまう場面がチラホラ。最後の対決シーンなど、面白い部分も多かっただけに、なんとも惜しい。

 もう一つ付け加えるなら、映画ファンへのサービスのつもりか、はたまたただの趣味かは存じ上げないが、要所要所でデロリアンジャンゴ(?)を登場させたのは、あまりにも寒すぎた。いや、人によってはそこそこ笑えたのかもしれないが、たまーに読み切り漫画で見かける、時代劇なのにサングラスかけてiPod聴いてるみたいな、「うわー、コイツ絶対売れんわ。今時こんなんが意外性あって面白いと本気で思ってんのか?」と思わざるをえないシチュエーションを彷彿とさせ(実際、そこまで酷くはないが)、ちょっとゲンナリしてしまった。

 着眼点はすごくよいものの、いまいちハッチャけ切れなかった、あるいはハッチャける方向を間違えた印象。同じやるなら、チャウ・シンチーぐらい突き抜けてほしかったところだが…。

 さて、このままだと、ただボロクソ言ってるだけになるんで、軽くフォローを。アマンダ・サイフリッド(セイフライドなのかサイフリッドなのか、いい加減統一してほしい)は、超ヤな女の役だったけど、相変わらず可愛かった。シャーリーズ・セロンも、負けず劣らずいい女。ガンマン(ガンウーマン?)スタイルもサマになっててグッド。
 …ヨシ、こんなもんでいっか(エー)。


 ☆☆☆★★

 なんか超短めだけど、星3つ!!


 やるのか…。やめときゃいいのに。