「サミーとシェリー 七つの海の大冒険」感想
「ナットのスペースアドベンチャー3D」のベン・スタッセン監督、脚本。ウミガメのサリーが、世界中の海を巡る大冒険を繰り広げる、ベルギー産CGアニメーション。
率直に言うと、極めて凡庸。可もなく不可もなく、毒にも薬にもならない。強いて挙げるなら、水と海洋生物の描写と、作中のご機嫌なナンバーはまあ良かったものの、それ以上のセールスポイントは特になし。
そもそもにして、テーマが分かりにくいのが非常に致命的。生まれた時、一人(一匹?)で巣穴から這い出す事もできなかったサミーが、様々な出来事や困難を経験して成長していく、というのが物語の全体像なのだとしても、基本成り行き任せで、初恋相手のシェリーと、幼馴染のレイを助けた時以外は、誰かに引っ張られるまま助けられるまま、ナーナーに動いているようにしか思えなかった。
展開も行き当たりばったりが多く、そのほとんどが、偶然たまたまどうにかなっちゃったのオンパレードで、一歩踏み出す勇気もヘッタクレもあったもんじゃない。その上で、石油タンカーの流出事故やら、宇宙飛行士やら、ヒッピーやら、ついにはシーシェパードのバッタモンなど出されても、観てるこっちは何が何やら。
おそらく、それぞれの時代の代表的な出来事を盛り込み、人間の所業を客観的に見るという側面をもたらそうとしているのだろうが、色々な要素を詰め込みすぎて、結局何が言いたいのか、何がやりたかったのかさっぱり状態になっているのは、正直痛すぎる。
「七つの海」と銘打っているわりに、実際どれだけ周っているのか実に怪しく、まして海亀が淡水の川を泳いでいるのも、おかしな話し。だいたい、卵から孵化した後、自力で海まで辿り着けないような個体が、そうそう生き残れるわけはなく、仮に運よくカモメの猛襲を潜り抜けたとしても、他の天敵に食われるのが関の山。そうやって弱い個体を捕食して、他の生物は何とか今日一日分の命を長らえとるんだ。大自然の弱肉強食の掟なめんな。
ウミガメかわいい〜とか、海キレイね〜とか、そんな事を言いながらボーっと観る分にはいいかもしれないが、それ以上のものを期待してはいけない作品。羽多野渉や柿原徹也といった人気イケメン声優(エンドロール後に顔写真付きで紹介)が出演するので、そっち方面目的で観るなら、まあ小生は止めませんよってな具合。
とりあえず、そんな感じで。
☆☆☆★★−
つーかLiLiCoって、この手の映画には必ずといっていいぐらい出てる気がするけど、錯覚?星3つマイナス!!
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