「キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー」感想
アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟監督、クリス・エヴァンス主演。「アベンジャーズ」新シリーズにして、2011年公開「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アドベンチャー」の続編。
正直、前作は「アベンジャーズ」のための繋ぎという観が強く、またビギンズものとしても恐ろしく淡白な出来だったが、今回は本領発揮ともいうべき、手に汗握るアクションと高いドラマ性に富んだ仕上がりで満足。
常人の数十倍の身体能力と、めっさ硬いフリスビーを持っているとはいえ、超テクノロジー満載のスーツを着てるわけでも、掌から蜘蛛の糸が発射できるわけでも、アダマンチウムの爪と不老不死の身体ともじゃもじゃの髭があるわけでもなく、他のバラエティ豊かなヒーロー達に比べると、かなり地味な印象を受けるキャップだが、その分、ストーリー面はなかなかに濃密。
半世紀以上の時間を越えた、善悪に対する解釈と変革、複雑化した社会と組織の精神構造を巧みに使い、様々な人間の目を通した一種の群像劇を思わせるシナリオはグッド。もちろん、根本はお約束の勧善懲悪なので、簡略化されている部分は多々あるが、その中で人がどう動くのかにウェイトを置いた、熱い人間のドラマを見せてくれている。
肝心のキャップも、新しい時代に前向きに順応しようとする一方、残してきた多くのモノに寂しさと懺悔の念を抱えながら、与えられた任務を全うする勇姿を披露。ただ苦悩するばかりでなく、今自分が出来る事、必要とされている事をその場で決断し、実行する「できる男」っぷりで、他の若輩ヒーローとの差別化に見事成功している。
また、仲間のブラック・ウィドウやファルコン、ニック・フューリーら、そして敵側の面々は、最新技術を用いた超ハイテク機器を駆使し、白兵戦から頭脳戦まで幅広くこなすのに対し、キャップ自身は、旧態依然とした殴る蹴るとシールドスローを主軸に戦うスタイルを貫くという対比も、そのまま太平洋戦争から現在まで続く、キャップとアメリカVSナチス残党の関係を物語っているようで面白い。どんなに技術が進歩しても、究極的な愛国心、正義の精神は愚直なまでに変わらないという象徴のようでもあり、同時に悪も、時代に合わせて手を代え品を代え蔓延ろうと企むのだと、ビジュアル的に表現しているようにすら感じた。
例によって「アベンジャーズ」への繋ぎ観は強く、最後もやや中途半端に思えてしまうのは詮方ない事だが、それでも一本の映画として見応えは充分にアリ。名優ロバート・レッドフォードの悪役っぷりも素晴らしく、毎度お馴染みのスタン・リー御大をはじめとした、一連のシリーズファンなら思わずニヤリとしてしまうカメオ出演も多数登場で、豪華この上なし。
しかし、ロバートがヒーローものの悪役で登場するなど、古くからのファンは果たして想像できただろうか。日本で言えば、仮面ライダーに松平健さんが出るようなもんか?(多分違)いや、実際出たことあるんだけど。
若い頃の彼にそっくりなブラッド・ピットも、あと10〜20年ぐらいしたら出演してくれるだろうか。トムさんかジョニデなら、役次第で今すぐにでも出てくれそうだが。そういや、ジョニデが「バットマン」のリドラーやるって話し、どうなった?
閑話休題。
エンドロール後、まさかのキックアス(違)登場で、テンションと期待度はうなぎ登り。これはもうすぐ公開の「アメージング・スパイダーマン2」と「X−MEN」も、俄然楽しみになってきた。
彼が出るという事は、次の「アベンジャーズ」にマグニートー様が降臨する可能性も?ついでに「エイジ・オブ・アポカリプス」か「インフィニティ・ガントレット」までやっちゃう気か?どうせなら「オンスロート」と「ヒーローズ・リボーン」まで行ってほしいところだが、とにもかくにも公開が待ち遠しい。
☆☆☆★★++
余談だけど、字幕版のテロップで「寄生虫」の「虫」が「中」になってたの、わざとじゃないよね?あんな間違い初めて観たわ。星3つプラスプラス!!
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