「平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊」感想


 仮面ライダースーパー戦隊によるコラボムービー第3弾。突如現れた地下帝国バダンの計画を阻止すべく結集する鎧武たち平成ライダーの前に、本郷猛率いる昭和ライダーが立ち塞がり…。

 前作、前々作の「スーパーヒーロー大戦」よりは格段マシになったものの、やはり相当なムリヤリ観とどうしてそうなった観は否めず。約38年ぶりとなる藤岡弘、1号及び、同じく34年ぶりの速水亮、30年ぶりの菅田俊ZX(ゼクロス)それぞれの変身ポーズは、一特撮ファンとして一見の価値ありとはいえ、正直それ以上のセールスポイントは見出せなかった。

 そもそもにして、人々の自由と平和を守るために戦う仮面ライダーが、なぜ平成VS昭和というよく分からん括りでドツキ合わなければならないかも謎だが、本編で語られるその理由もまた、田舎のヤンキーが他校の生徒につける難癖ばりに強引なのは、如何なもんか。
 いわゆる、若者と熟年者によるジェネレーションギャップ的な事をやりたかったとして、メインターゲットのチビッコ達はもとより、ヘタをすればそのご両親ですら生まれる前の年号を持ち出されても、彼らにとってはぶっちゃけ「?」に違いあるまい。まして、「お前達のその生半可な優しさがー」なんて言われても、頑固ジジイの妄言にしか聞こえないのでは?プリキュアでも見習って、もっと仲良くやれよと思ってしまう。

 また、今回のラスボス的存在である板尾創路演じる仮面ライダーフィフティーも、なんであんなオッサンが仮面ライダーに変身できるのか、あんなご都合的なロックシードをどこで手に入れたのか、さっぱり解明されないままで、頭に漢字で「十五」と書いてあるステキすぎるデザイン同様、かなり中途半端。嫁役の雛形あきことの絡みもほとんどなく、キャラクターとしての必然性が思いのほか弱かったのは、痛いマイナスポイント。
 せめて、平成ライダー昭和ライダーが戦う理由とうまく絡めて、バダンの計画にライダーの力が必要なのだグハハハッ!!ぐらいの要素は欲しかったところ。愛ゆえに暴走する哀しい悪役として、非常にいい味を出していただけに、勿体無い。

 もう一つ付け加えるなら、案の定というか何というか、トッキュウジャーキョウリュウジャー(実質キング一人)の存在が恐ろしく蛇足、というより、君達何にし来たの?観満載な扱いだった点にも苦言を呈したい。
 街中がしっちゃかめっちゃか、しかもライダー達が意味不明に殴り合っているという状況の中、あとからノコノコ遅れてやってきたかと思いきや、ロボに乗り込んで美味しいところちゃっかり持って行った挙句、また風のように去っていくという、随分な活躍のしかた。単に、キョウリュウジャーレッシャーデンオウレッシャー(というより、ただのデンライナー)の玩具を売るためだけに現れたような、大人のやらしい商業戦略すら透けて見えてしまう。
 あれなら実際、ムリにコラボなどせず、今年はライダー、来年はスーパー戦隊ときっちり分けて撮るか、あるいは最初からコラボと銘打たず、告知ナシでチラッと助っ人参戦でもした方が、サプライズになってよかった気がするのだが。何でも詰め込めばいいなんて安直な発想は失敗の元だと、この2年で学ばなかったのだろうか。そろそろ分かろうよ、マジで。


 まあしかし、これまでは登場人物が多すぎて、ドラマ自体がとっ散らかってしまった印象があっただけに、ある程度絞った事で員数的にバランスよくなった点は、評価に値する。約10年ぶりとなる半田健人くんによるファイズと、まさかのカイザ村上幸平くんご本人出演も嬉しく、そういったファンムービーとしての意義は、それなりにあると思われる。
 とはいえ、来年も同様のシリーズをやるつもりなら、いい加減やり方を見直さないと、観客にそっぽを向かれるのではと、余計な老婆心を呈してしまいたくなる。この調子で行くと、次はギャバンキカイダーも参戦だろうか。別に何が出てきても構わないのだが、もうじき消費税も増税されようかという昨今、それほど暇でもお金持ちでもない人が、失敗続きのシリーズに何度も金を払って観に来てくれると自惚れるべきではないと断じておく。


 ☆☆☆★★

 それから「ブラックRX」はともかく、「真」と「ZO」と「J」は平成制作だから。どう考えても昭和ライダーじゃないから。星3つ!!