もはや春休み恒例行事となった、歴代プリキュアが一堂に介するスペシャルムービーの第６弾。夢の世界に連れ去られた子供達を救うため、総勢３７人のプリキュアオールスターズが、悪夢に敢然と立ち向かう。
２００９年に始まった同シリーズも、既に６作目。プリキュア自体も放送開始から１０年が経過し、今や仮面ライダーやスーパー戦隊と並ぶ、国民的ヒーローと呼べるまでに成長したと言っても、過言ではあるまい。
ここまで来ると、もしかしたら親子二代で本作を楽しんでいる家庭が、日本のどこかにあるかもしれない。お母さんが子供の頃夢中になって観ていた作品が、今も多くの子供に愛され続ける。実に素晴らしい事じゃないか。年々流行り廃りが加速化し、ヘタをすればそこそこ注目を集めた作品でさえ、半年ちょっとで忘れ去られていくようなこの日本アニメ業界の現状において、まったくオリジナルのシリーズを１０年続けるという事は、もうそれだけで一つの偉業である。
いつもレビューで散々猥褻な事を書き殴っておいて何だが、製作スタッフの皆様の尽力には、ただただ脱帽せざるを得ない。
でも、できればナージャさんの事も忘れないであげてね。何なら新シリーズ作って！！
さておき。そんなプリキュア１０周年記念作品という意味合いも持つ本作。そのせいか従来と比べやや大人向け、特に子を持つ親御さんに向けたメッセージ色の強い内容になっていたのが印象的。
基本、我が子を過剰なほど溺愛し、病的に守ろうとする母親の暴走と、そんな母の束縛を心苦しく思いながら、勇気を出せずに従い続ける息子による、見た目ポップな妖精達の物語でありながら、例えばグリム童話のように、リアルと直結した親子の問題が痛々しいほどに示されている。
当然、女の子受けするカラフルな色彩と、楽しげな音楽、そして年齢層を考慮したシンプル且つファンタジー要素満載の構成で、小難しさや巧妙な文学トリックとは一切無縁。それだけに、誰にでも分かりやすく、しかし鋭く胸の奥に突き刺さるほどダイレクトに、観客へと伝わるのだろうと感じられた。
ただその分、チビッコ達にとっては少々ピンと来ないのか、あまり面白いと思えるような内容ではなかったかもしれないと察する。現に、小生の隣の席に座っていた幼女などは、途中から飽きたのか、今にも寝落ちしそうな顔を前の椅子に預けたままボケーッとし、むしろ連れ添ったお母様の方が熱心に観ているという状態だった。まあ、「ハトプリ」の劇場版の時も書いたが、大人になって子供と一緒に観返した時、はじめてその意味が理解できる作品があってもよいし、これも児童向け映画の一つの形だと思う。言うならば、これも１０年このシリーズを続けてきた賜物であり、１０年続けて来られたからこそのエピソードと断ずるのは、少々傲慢か？
さて、ここからはオッサン目線の感想を（ｴｰ）。強敵をみんなの力でぶっ倒すより、いかに仲良くするかのストーリーに重点を置いてきたＮＳシリーズだが、ここへ来てようやくアクション面が充実。ウネウネ気持ちよく動きまくる作画がもちろん、ブラックさんの花山パンチ、ホワイトさんの理合い投げ、ダイヤモンドさんの転蓮華をはじめとした、各メンバーそれぞれの個性を生かした戦闘スタイルを惜しげもなく披露。
もはや名物となったハトプリコンビの掛け合いももちろん健在で、特に敵を一掃した後のえりか様の一言には爆笑必至。
さらに前作、前々作と声なしだった５ＧＯ！ＧＯ！勢とＳＳの二人もようやく陽の目を、もとい満を持しての大活躍。ルージュさんとマーチさんの合体必殺技、エースさんとムーンライトさんのダブル電光チョップ、レモネードさんとピースさんのあざといコンビ等、これまであまり観られなかったチームの垣根を越えたタッグにも注目したい。
（余談だが、今回はピンクの人全員にセリフがあるので、まだの未見のファンは期待されたし）
確かに、エコーさんの再登場や、ハニーさんの出番等、多少剛力もとい強引でご都合的かと思える点はあるにせよ、７０分弱という上映時間と対象年齢を考えても、やはりよく出来た快作と評価できる。少なくとも、ＮＳ３部作の中では一番の出来。
しかし、ＤＸに続きこれでＮＳも終了だそうだが、来年はどうするつもりだろうか。それ以前に、来年もプリキュアが続いているかの方が重要だが、これだけ員数が増えると、さすがに一つの物語で動かすにはムリが出てくると察する（つーかコレ、ＤＸ３の時も同じような事書いたな 笑）。
スーパー戦隊のＶＳシリーズよろしく、新旧２チームに絞るか、何かしらの縛りを決めて選抜メンバーにするか、あるいは数回に分けて連続公開するか。または、なぜか平成と昭和に分かれてドツキ合うか（ﾈｪﾖ）。
いずれにしろ、その前に秋の映画が先だな（ｴｰｰ）。
☆☆☆★★＋＋
てか、もうゴーリキーはいいよマジで。星３つプラスプラス！！
