「リディック:ギャラクシー・バトル」感想


 パーフェクト・ゲッタウェイデヴィッド・トゥーヒー監督ワイルド・スピードヴィン・ディーゼル主演。全銀河最凶最悪の犯罪者リディックが、灼熱の惑星で謎の原生生物達と壮絶な戦いを繰り広げるSFアクション。

 2000年公開「ピッチ・ブラック」、及び2004年公開リディックに続く、シリーズ第三弾となる本作。正直、前作は9年近く前な上、恐ろしくつまらなかった印象しかなかったが、本国アメリカではそこそこ人気があるのかゲーム化もされ、さらにDVD用アニメまで製作されているという(ちなみに1作目は未見)。

 で、うっすらと残っている記憶が確かなら、前作ではリディックがラスボスをぶち殺した途端、それまで敵だったネクロモンガー軍団が突然ひれ伏し、連中の王として迎えられるというナンジャソラ全開のラストだったわけだが、今回はその後、案の定いろいろあって謀反起こされた挙句、辺境の星にポイ捨てされるところからスタート。
 前半、深手の重傷を負った状態から、限られた環境と材料で武器や道具を作り、原生生物に対抗するサバイバル編。中盤は、リディックの首を狙ってやってきた賞金稼ぎ達との攻防を描いた襲撃編。そしてクライマックスは、彼らと共闘し、未知の凶悪生命体の大群と戦う脱出編と、大きく分けて3つのパートで展開されるのだが、これが意外や意外、それぞれの局面ごとに違った見せ方、演出がなされており、なかなか見応えのある内容になっていた。
 この前のグダグダっぷりはどこへやら、例えば前半は、リディック視点での極限状態を、中盤は「エイリアン」を彷彿とさせる、賞金稼ぎから見た神出鬼没な凶悪犯の恐怖を、最後はとにかく撃って殴って叩っ斬っての大暴れをと、各パートごとに見せたいものを明確にし、それに合わせた小道具の使い方、およびキャメラワークがなされている。
 言うならば、一本の映画に3本分のエピソードをぶち込んだ様相。ともすればゴチャゴチャで、何をやっているのかワケが分からなくなりそうな手法ながら、元々がとてつもなく分かりやすい、小難しさ一切なしの血飛沫満開スプラッタアクションのためか、ちょうどよい濃度に仕上がっている点にも注目したい。そのせいか、相当に既視感のある展開、お約束なテンプレ演出も多数見受けられるが、その辺はご愛嬌という事にしておこう。

 例によって、真っ暗闇の中を黒人が真っ黒なスーツ着て転げ回るので、何をやっているかさっぱり分からなくなる場面が何度もあったのは、痛いマイナスポイント。何年も前から言っている事だが、映画は映ってナンボなのだから、いいかげん照明の使い方ぐらいもう少し考慮していただきたいところ。せっかく目が光るという設定があるのだから、それでリディックの動きが見て取れる、ぐらいの演出はあってもよかった。

 それから、これはまたも日本の広報に言いたいのだが、どうして本作に「ギャラクシー・バトル」などという陳腐な邦題をつけたのか、胸ぐらを掴んで問いただしてみたい。ムダに壮大なタイトルをつければ、怪獣好きの客が騙されて足を運んでくれるとでも思ったのだろうか。これではまるで、最終的に奇跡の力とやらで巨大化したリディックが、謎の光線で合体大怪獣をやっつける某円谷プロの特撮ヒーロー映画ではないか。ナンセンス。
 そもそも、「バトル」はともかくとして、どことも知れない辺境の星での話しの、どこか「ギャラクシー」なんだ。こういう文章的なセンスに関して、日本はどんどん廃れていっている印象を受ける。関係者の皆様方には、映像やコンピューターだけでなく、今後はこっち方面の人材もしっかりと育てていただきますよう、強くお願い申し上げたい。


 さておき。大絶賛するような内容でもないものの、思っているよりは楽しめる、そんな作品。次があるのかどうかは微妙なところだが、とりあえず休日ビール片手に観るには申し分ない出来。まあ今回は、こんな感じで。


 ☆☆☆★★+

 ポロリもあるよ!!星3つプラス!!


 なんでやねん!!(笑)