「ハンガー・ゲーム２」感想

　「コンスタンティン」のフランシス・ローレンス監督。「世界にひとつのプレイブック」のジェニファー・ローレンス主演。スーザン・コリンズのＳＦ小説「ハンガー・ゲーム2 燃え広がる炎」を原作とする、シリーズ二作目。

　前作も既にうっすらとした記憶しかなく、しかもレビューで相当ボロクソに書いたような気がする本シリーズ。正直、予告を観るまで「何だっけコレ。どっかで観た事あるような…」「ああ、そういや３部作みたいな事言ってたね」と、ほぼ完全に存在を忘れている有様。
　そんな調子での鑑賞だったせいか、前にも増して冗長且つ、非常にかったるい内容だった。

　とにもかくにも、前半のクソつまらない会話劇ターンが一時間以上も続き、肝心のハンガー・ゲームはほんのチョビッとという、大不評だった前作とまったく同じ構成で、反省点の欠片も見当たらない時点でアウト。無論、アクションシーンに限らず、恋愛劇や駆け引き、あるいは虐げられている人々が決起する様と、人それぞれ観たいものは違うのは理解できる。しかし、そのどれもが中途半端で大した面白みもないのは如何なモノか。

　加えて、３部作のちょうど真ん中である２作目であるためか、中だるみ観が酷すぎるのもマイナスポイント。この点のシリーズものにありがちな、１クールアニメの何話か分をブツ切りにして出されている感覚はこの際目を瞑るとして、なぜここまで山も谷もないのか。まるで全１２話中、６〜８話ぐらいのどうでもいい遊び回だけを繋ぎ合わせ、最後にちらっと重要っぽい要素を入れたようなユルさ加減で、果たして何人の客が満足し、「ヨシ、次回もまた観に来よう」などと思ってくれるか、甚だ疑問。
　同じ中編でも、例えば「マトリックス・リローデッド」よろしく、客を退屈させない壮絶なアクションやアイディアを盛り込れば、次への期待も大いに膨らむというモノ。ナンセンス。

　また、これも前作に引き続いての事だが、上流階級の悪趣味で品のない派手派手ファッションと、近未来的な技術や建築物の数々、下級市民の中世のような泥まみれでボロボロの服装と暮らし、この二つの対比が極端にヘタな上、画面上での相性も恐ろしく悪い。考えてみていただきたい。仮に「ロビン・フット」か「レ・ミゼラブル」（は、ちょっと新しすぎるか？）のような世界に、突然ストーム・トルーパーみたいな連中や、ロバート・ゼメキス辺りが諸手挙げて喜びそうなSFハイテクマッスィーンが現れたとして、果たして絵的なバランスが取れるとお思いか？もしも、そのチグハグさ加減、バラバラ具合を「個性」「オリジナリティ」と言い切るなら、心より廃業をオススメする。

　途中のトーク番組やファッションショーも邪魔極まりなく、おまけにゲーム前から参加者全員で手なんか握り合っちゃってるので、緊張感もヘッタクレもなし。そのくせハンガー・ゲームそのものは「今日日どこのソシャゲだよ」レベルのチープさで、オチも弱すぎ。ムダが極端に多いのに、大事な部分は超適当では、一体何のために撮られた映画なのか、さっぱり分からない。
　原作がこうだから仕方ないのかもしれないが、それならなおの事、一本の映画として少しでも面白くなるよう、例えばゲームスタートのシーンを冒頭に持って来て、そこに至るまでの過程をザッピングで観せる、といった具合に、少なからず工夫するべきではなかったのか。何にせよ、この内容で約２時間半の長尺は拷問に等しい。

　やはり前にも書いたが、そもそもにしてこの作品は、映画という媒体には適していない作品ではないだろうか。週に３０分か１時間ずつのテレビシリーズならまだしも、前中後編（次でまたPart1、Part２になる可能性も否定できないが）で２時間半ずつでは、大した掘り下げやショートエピソードも挿入できず、何より客への負担が大きすぎる。この尺を観て、鑑賞を見送る人も少なくあるまい。もっとも、この出来ではその判断は正解だと言わざるを得ないが…。

　察するに、３作目の公開は来月の夏か年末頃と予測するが、この調子で撮り続けるなら、確実にいつぞやの「トワイライト」よろしく、誰も見向きもしなくなると苦言を呈しておく。どうせやるなら、最後のゲームに地上最強の生物が親子で参戦、あるいは首都に突如１００級の巨人が進撃してくる、ぐらいのインパクトがほしいところ。

　少なくとも、吹き替えに人気声優を起用するのにコレといった効果はない。

　☆☆★★★

　てかジョニファー・ローレンス、ちょっと観ないうちに随分とふとｒｙ、あえて厳しめに星２つ！！