「仮面ライダー×仮面ライダー 鎧武&ウィザード 天下分け目の戦国MOVIE大合戦」感想


 年末恒例の仮面ライダーMOVIE大戦シリーズ第5弾。

 前作、前々作と良作が続いた本シリーズだが、さすがにネタ切れか、はたまたスケジュールの関係か、所々にどうにもやっつけ的な雰囲気が目立ち、まったくダメダメとは言わないまでも、正直取り立てて観るような部分もない仕上がりになっていた。

 前半の「ウィザード編」は、かなーり大雑把で唐突、且つ急ごしらえで作った観満載ながら、晴人くん(=ウィザード)のコヨミちゃんに対する想いを巧みに使い、短時間でもテレビシリーズ視聴者を納得できる形に着地させている点は、評価に値する。

 特に、実は晴人くんの方がコヨミちゃんの存在に救われていたというエピソードは、本作を含め、これまでも数々の名エピソードを世に送り出してきた香村純子さんらしい詩的な美しさ。それだけに、今回の敵であるファントム・オーガ、あるいはビーストキマイラをもっと上手くポジショニングできていればと思えなくもないが、結末としては決して悪くなかった。


 とはいえ、それに続く「鎧武編」が正直あまりよろしくない。戦国時代によく似た戦極時代」を舞台に、武神と呼ばれる平成ライダー達が天下統一を目指して戦う、と言えば聞こえはいいものの、実質、これまで「ディケイド」やここ数年のライダー映画で観てきたパターンの何番煎じ。はっきり言って、目新しさや新鮮な驚きは皆無。ガイムだけに。

 ラスボスである武神鎧武も、必然性はともかくいまいちパッとせず。本作オリジナルにして目玉といえるレジェンドライダーアームズはそれなりに面白かったが、結果的に出オチで終わってしまっているのは何とも惜しい。
 肝心のアクション面に関しても、特に悪くもなければ良くもなく。単純に比べるのは無意味と分かっていても、前作の壮絶なカーチェイス、または前々作の宇宙決戦と同等か、それに匹敵するモノを期待していただけに残念。
 上述したように、夏の映画でも恒例だった次回作ライダーのプレデビューがなかったところを見る限り、どうも「鎧武」はスケジュールの調整がうまくいっていないようにも思える。テレビシリーズそのものはこれから益々面白くなりそうな感じだが、ちょっと今回は、その良さを存分に発揮できていなかった印象。歴代シリーズからのゲスト出演はまあまあ嬉しかったが、中身が伴っていないのは、如何ともし難い。

 情報によると、どうやらまた来年の春頃に「スーパーヒーロー大戦」をやるつもりらしい。何でも今回は、平成ライダーVS昭和ライダー、おまけでスーパー戦隊という仕様だそうだが、こう何度も何度も大集合されては、いいかげんありがたみもヘッタクレもなくなる事に、東映のお偉方にも気づいていただきたいところ。「ディケイド」シンケンジャーの共演が大事件だったあの頃が懐かしい…。
(そもそも、昭和枠の入れられてる「真」「ZO」「J」は思いっきり平成に入ってからの作品なんだが…)

 「2010」ほどグダグダではないにせよ(ただし「スカル編」は良かった。マジであれで1時間半作ればよかったのに…)、ちょっと食傷&煮詰めきれていない感じ。あえて順位をつけると、

 アルティメイタム≧MEGA MAX>>>>越えられない壁>>>>>>2009≧本作>>>>>>>2010

といった具合か。ぶっちゃけ、作品のクオリティを削ってまで撮っても、製作側とユーザー双方にとっても負担になるだけ。それなら、最初からやらない方がいい。会社の都合でどうしても撮らなければならないとしても、どうすれば客が気持ちよく金を払ってくれるか、満足して「よし、次回作もまた必ず観に来よう!」と思ってくれるか、そろそろ真剣に考え直さなければいけないのでは。
 高卒低所得の小生ごときが言うセリフではないが、一応苦言めいた事を呈しておく。


 ☆☆☆★★−

 つーか今年だけでノブナガとヒデヨシ、違う映画で3回ずつ観たわ(笑)、厳し目に星3つマイナス!!

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