「グランド・イリュージョン」感想


 「トランスポーター」「タイタンの戦いルイ・レテリエ監督ソーシャル・ネットワークジェシー・アイゼンバーグ主演。ラスベガスのステージ上から、遠く離れたパリの銀行に保管されている大金を盗み出す前代未聞のパフォーマンスを成功させたマジシャンチー「フォー・ホースメン」と、彼らを犯罪者として追うFBI特別捜査官との戦いを描くトリックサスペンス。


 ちなみに、原題「Now You See Me」は、手品師がよく使う決まり文句の一つで「見えてますね?」の意。


 さておき。
 マジックを題材にした作品だけに、作中ありとあらゆる場面に張り巡らされた伏線、あるいはミスリードを誘うトリックが特盛り状態。豪華絢爛なステージセットや、度肝抜く映像美、そして次に何が起こるか分からない緊張感と、計算されつくしたストーリー展開が加わり、約2時間退屈するヒマは一切ナシ。

 また、主人公チーム「フォー・ホースメン」のリーダー・ダニエル演じるジェシー・アイゼンバーグをはじめ、その元カノで脱出トリックの名手・ヘンリー演じるアイラ・フィッシャー、メンタリズムの達人・メリット演じるウディ・ハレルソンら実力派俳優の演技も素晴らしく、特に「フォー・ホースメン」のトリックを見破れると豪語するマジシャン・サディアス演じるモーガン・フリーマンのいぶし銀の名演は、観客に本作の世界観を分かりやすく伝えるためのフィルターであるとともに、いい意味でのカオスを与える狂言回しとして、完璧に機能している。

 おそらく彼でなければ、本作をここまでの完成度に引き上げる事ができなかったと違いない。若者中心の「フォー・ホースメン」と、マーク・ラファロ演じる中年捜査官、そして老獪なサディアスという、この奇妙なシンメトリーにも似たキャラクター構図が、物語にさらなる謎と驚きとスリルを与えていると断じたい。
ウディ・ハレルソンマーク・ラファロより年上だったりするが)


 それだけに、あのオチに関しては賛否両論ありそうなところだが、小生個人としては一応アリとしつつも、やはり最後の一線というべきか、出来るなら貫いてほしかったとも思う。例によっていい喩えが浮かばないが、無理やりひねり出すなら、今までガチンコのステゴロファイトをしていたのに、いきなり目からビーム出してトドメ、みたいな。意外性という意味では確かにそうだし、決して悪い落とし方ではないにせよ、どこか裏切られたような感覚を覚える人もいるのではないかと、勝手に邪推する。


 まあしかし、エンタメ作品としてスマートに、大胆に、終始一貫観客を欺き通したという意味では、合格ラインを遥かに越える出来。作中の最重要キーワード「近づきすぎると見えない」が徹頭徹尾利いた、まさしくその名に恥じない「壮大なイリュージョン」を具体化したような作品。とにかく必見!!


 ☆☆☆★★+++

 そういや、結局あのインターポールのお姉ちゃんは何しに来たの?星3つプラス3つ!!