「G.I.ジョー バック2リベンジ」感想


 米・ハズブロの人気玩具G.I.ジョーを原作とし、2009年に公開され大ヒットを記録したアクション映画の続編。宿敵・コブラの策略により、全滅を喫したG.Iジョーの生き残りメンバーが、仲間の仇討ちと悪の野望を阻止するため、伝説の戦士を助っ人に戦いを挑む。

 マスコミやネットで言われているほど、前作がヒットしていた記憶はないのだが、第2弾が製作されるという事は、それなりに興行成績がよかったのだろう。さておき、マッシブな兄貴とエロボディスーツのお姉ちゃんが、筋肉と銃器とその他もろもろを駆使して巨悪を叩くド定番ドンパチムービーながら、チームの全滅と全世界崩壊の危機に加えて、とある事情によりアメリカ全土を向こうに回す非常にハード且つスリリングな展開で、思いのほかストーリー面でも楽しめた。
 特に後半、各国大統領が次々にスイッチを押すシーンは(何のスイッチかは劇場かDVDかBlu-rayで確認されたし)、お隣の北の某国の事もあり、フィクションとはいえ実際あんな事態が起こったらと、妙な緊張感と戦慄を覚えてしまった。最後はもちろん、ヒーローが何とかしてくれるのがお約束なのだが、「これ、ちょっとヤバイやろ」と思わせる手腕は、さすがゾンビランドレット・リース&ポール・ワーニック脚本といったところ。

 が、それだけに主人公は誰なのか、またどの視点で観るべきなのか不明な場面が多く、群像劇として推敲しきれていない部分が見て取れたのは惜しい。別にネタバレでも何でもないと思うので書くが、前作の主人公に当たるチャニング・テイタム演じるデュークが、開始10分少々でいきなり退場、その後はロック様ことドウェイン・ジョンソン演じるロードブロックを中心に話が進むのはヨシとして、途中から参戦するブルース・ウィリス演じるジョー・コルトン司令官や、イ・ビョンホン演じるストームシャドーの存在感が強すぎて、正直そっちに意識を持って行かれがちに。
 特定の主人公を置かないやり方もあるにはあるが、本作に限って言えば、どうも個々のキャラクターを上手くまとめ切れなかったような印象を受ける。前作の評判が想像以上に良かったのか、ビックリするぐらい高待遇になったイ・ビョンホンはともかく、嫌な言い方をしてしまうが、いっそブルースは戦闘に参加せず、本来の意味での「司令官」として登場してもよかった気がする。

 また、状況的に仕方がないとはいえ、G.I.ジョーの代名詞とも言える近未来ハイテクガジェットがほとんど登場しなかったのも、少々寂しい。その分、敵側はバイク型ミサイルやらホタル型爆弾やら、いろいろ使っていたものの、やはりそこは「こんな事もあろうかと、秘密の武器開発セクションがあるんだよ」ぐらいの事はしてほしかった。
 もっとも、ザイルにぶら下がっての剣戟や、お得意のド派手な銃撃戦等、代用品と言わんばかりの豪快なアクション目白押しで、それで満足な人もいるのだろうと察する。


 しかしまあ、最近のアメリカはホワイトハウスを占拠されるのがちょっとしたトレンドなのだろうか。某氏曰く「ハリウッド映画を観ると、今のアメリカが主に何と戦っているかが分かる」そうだが、どうも映画撮影にかこつけて、有事の際にどうやって大統領を守るかシミュレーションしているように見える。
 それだけ世界情勢が逼迫している証拠なのかもしれないが、もっと平和的に解決する方法を模索した方がいいのでは、と思う一方、我が国もボヤボヤしてらんねぇぞと勝手な危惧も覚えてしまう。例の震災後、混乱に乗じて某国の工作員やら諜報部員やらが大挙してやってきたという話しも聞くし、何か具体的且つ抜本的な対策を今から考えるべきなのではと。
 とりあえず、尖閣竹島には海上自衛隊を常時駐屯させとけ(エー)。


 例によって続編ありますよ感全開の終わり方で、あの人とかあの人とかどうなるんだろうと思いつつ、単純にドンパチを楽しむなら十分にアリ。ちなみに本作で一番頑張っているのは、顔も声も一切出さずに黙々とアクションをこなすスネークアイズ演じるレイ・パークです(笑)。


 ☆☆☆★★++

 星3つプラスプラス!!


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