「スノーホワイト」感想

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 グリム童話の中でも特に人気の高い物語「白雪姫」を、アリス・イン・ワンダーランドのスタッフが大胆にアレンジ。「トワイライト」シリーズのクリステン・スチュワート主演、邪悪な女王役「モンスター」シャーリーズ・セロンを起用した、エピック・ファンタジー・アドベンチャー
 

 良くも悪くも、シャーリーズ・セロンの存在感が圧倒的。他にも良い点は多々あるのだが、所々に煮詰めの甘さが見受けられ、結果的にまとまりに欠ける印象になってしまった。

 前半、シャーリーズ演じる魔女がスノーホワイトの父親である国王をたらし込み、王国を手中に収めるまでの経緯はなかなか面白く、その背景にある魔女の幼少期に受けた苦難と屈辱の記憶を垣間見せる事で、彼女が単純な悪ではなく、いわばスノーホワイトの対極に位置する、もう一人の主人公としている点も、非常に興味深い。
 同時に、彼女の類稀なる美貌が自身の役割に充分な説得力を生み出し、若々しい姿と老婆の皺顔を行き来する特殊メイクの効果も相俟って、冷酷で残忍な中にも、どこか底知れぬ哀れさをも表現する事に成功している。

 個人的には、彼女への忠誠のためなら人道に悖る行為でも平然とこなしつつ、実は誰より彼女を慮り、憂いている弟・フィンの存在もグッド。決して友達にはしなくないタイプだが(笑)、使いこなせれば物語をより良く構築できる、意外と重要なポジションだと察する。
 それだけに、最期はもうちょっと何とかしてほしかったんだが…。

 閑話休題
 とはいえ、確かに前半、具体的には森でクリス・ヘムズワース演じる猟師エリックと出逢い、行動を共にするまではそこそこ良かったものの、物語に進むに従い、矛盾&ムリヤリ具合もヒートアップ。
 途中に出てくる女性だけの集落、突然襲い掛かってくるトロールなんてのはもちろん、肝心の7人の小人と王子様も、正直ストーリー上そんなに重要だったか甚だ疑問で、おまけにその王子様は、スノーホワイトを探すために魔女軍の班に取り入り、集落の焼き討ちを傍観するアナーキーっぷり。いくら何でも、そこは止めようよ。さりげなく助けたりはしてたけども。
 まして、ついさっきまでナイフ一本まともに扱えなかった小娘が、いきなり大軍を率いて勇猛果敢に戦うなど、ご都合主義にもほどがある。作中、戦い方の手ほどきを受けるシーンは、わずか1カットしかなかったはずだが、あれで闇の騎士団相手を圧倒できるだけの技能をマスターしたとでも?もしくはお城で寝てる間に睡眠学習マトリックスみたいに。

 そもそも、どうして彼女に魔女の呪いを退ける力があったのか、いまいちよく分からないのは、小生の勘が悪いからだろうか。彼女が世界で一番美しいから?それとも王家の血筋だから?その辺がものすごくあやふやな上、上記のように最期は勢いでバーン!的な展開なので、クライマックスの頃にはぶっちゃけ萎えてしまった。
 魔女の今際の際の芝居はとても良かっただけに、実にもったいない。

 非常にイヤな言い方だが、とにかく最終的にスノーホワイトをバトルヒロインに仕立る前提で企画がスタートしたものの、いい感じに脚本がまとまらなかったんで残りは勢いでバーン!と乗り切っちゃいなよYOU踊っちゃいなYO!的な、製作側の思惑が透けて見えてしまう。

 ついでにもう一つ、イヤな言い方をするが、何故にこの手の「古典を大胆アレンジ」といった触れ込みの作品は、本作も含め、みな口裏を合わせたかのごとく、似たような雰囲気になるのだろうか。
 大体が、ちょっとビターな大人テイストのダークファンタジーか、時代考証無視のオーバーテクノロジー満載ムービーで、もういい加減違うアイディアはないんですか?と勘ぐりたくなる。
 それでも面白い作品がないわけではないのだが、人気のアメコミヒーローが最強チームを結成し、仮面ライダースーパー戦隊が一堂に会するこのご時勢、もうワンパンチ、ツーパンチは欲しいところ。

 といっても、大時代の連中が現代のヒットナンバーに合わせて軽快なダンスを披露、なんてのはさらに飽きてるから。絶対にノーサンキューね。

 
 各パーツごとだと、なかなか良く出来てるように観えるが、全体を通して観るとアラが目立ってしまう、なんとも残念な作品。聞けば既に続編が決定、3部作を予定しているそうだが、その際は是非とも脚本面の強化に尽力願いたい。

 しかし、「白雪姫」の物語は本作でほとんど完了しているはずだが、次は何をやる気なんだ?復活した女王に、スノーホワイトの結婚式で真っ赤に焼けた鉄の靴を履かせて、死ぬまで躍らせるとか?
 まさか、他の「グリム童話」のヒロイン達をぞくぞく登場させて、最強の一人が決まるまでガチンコのドツキ合いでもされるつもりか?クイーンズブレイドじゃあるまいし(笑)。
 でもどうせやるなら、本家よろしくおっぱいポロリも(以下略)。


 そんなわけで、小生の評価は…、

 ☆☆☆★★+

 シャーリーズ・セロンにおまけの星3つプラス!! 


 余談。時間の都合で日本語吹き替えでの鑑賞と相成ったのだが、魔女の声を担当した小雪の演技が思いのほか拙く、且つまったくマッチしていなかった。
 旦那のSALが伝染ったのか、特に感情を込めたセリフだと、棒読みっぷりがさらに際立って、正直観て(聞いて?)いられない。
 おかしい、あんなに下手だった記憶はないのだが、やはりウィスキーがお好きじゃなくなったからか?(絶対違)

 私見ながら、ああいう役の吹き替えでタレントを起用するなら、声優経験もある高畑淳子さん、あるいは天海祐希さん、本職の方なら井上喜久子さん田中敦子さん辺りが妥当だと察するが、いかがだろうか。



 最近になって気づいたけど、この歌の冒頭の歌詞「窓の外では林檎売り 声を嗄らして林檎売り」って、本作の魔女の事だったのかも。
 学生の頃、毎日聴いてたのになー(笑)。

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