「ネイビーシールズ」感想 - synkronized417’s blog

　全米軍中わずか０．５％、ウサマ・ビンラディン暗殺作戦を遂行した事でも知られる超エリート精鋭部隊「ネイビーシールズ」。その現役兵士達が出演し、実際の装備を駆使してテロリストとの壮絶な戦いを繰り広げる、前代未聞のアクションエンターテイメント。

　
　いかにも強くてデカくて派手な事が正義のアメリカらしい、プロパガンタ臭芬々な内容ながら、アクション映画として普通に面白い。

　さすがに本職の方々だけあって、戦闘行為における諸々の挙動は文句ナシにカッコいい。銃火器や機材の扱いはもちろん、指と視線のジェスチャーだけで連携を取り、個々が一つの目的のために的確に機能する様は、、統制された美すら感じる。
　状況を冷静に分析、最善と思われる方法を瞬時に検討、決断する。普段からサバゲーや「ゴーストリコン」等FPS（またはTPS）を嗜む人ならまず間違いなくグッと来るであろう、まさにエキスパートの仕事ぶり。

　確かに、物語そのものはそれほど奇抜なモノではないにせよ、映画の世界でブルース・ウィリスやスタローンがたった一人でこなしてきた事を、現実世界では多くの精鋭達が命がけで行っているんだと、改めて認識。
　多少のステマ乙観、あるいは「世界の平和を守ってるのは俺達アメリカ人だぜヒーハー！」的な雰囲気はあるにせよ、事実、こういう人達の活躍が、巡り巡って我々の生活を支えているのだから、戦争行為の是非はともかく、頭の下がる思いだ。

　ただ、それだけに無理矢理なストーリー仕立てなどにせず、あくまで彼等に密着した擬似ドキュメンタリーのような体裁にした方が、よりリアリティが出て良かったのではないかとも思ってしまう。
　その手の作品にありがちな、ハンディカメラ揺れ揺れ映像はゴメンだが、せっかくホンマモンの特殊部隊が出ているのだから、~~ヘタな芝居もとい~~下手に芝居などさせず、大雑把な内容と展開だけ決めて、あとはオールアドリブで、なんて方法もあったのではと（実はそうしてたかもしれんけど）。

　相手のテロリスト側の視点に関しても、こちら（アメリカ）側なりの配慮、というべきか、「アンタらの言いたい事も分かってるんだよ」的な意味合いがあったかどうかは当然存じないが、どうにも作り話観が浮き彫りになり、少々白けてしまう場面も見受けられた。
　何かモチーフとなった有名な事件があったのかもしれないが、作戦中に目を負傷する隊員、または終盤の手榴弾の一件も含め、悪い意味でのあざとさが目に付いたのは、惜しすぎるマイナスポイントと言わざるを得ない。

　まあ、若干「ホンマかいな」と思って観に行く人がほとんどだと察する（多分）が、騙すなら最後まできちんと騙すのがエンターティナーとしての礼儀ではないかと、個人的には思う（シナリオ面の意味で）。
　

　「これが世界最強のテロ兵器だ！」と言われても、核ミサイルやバイオ兵器等、これまで観て来たモノに比べるとややインパクトに欠ける、てかそれ「サンボット３」でもやってたやん的なアイテムを巡っての戦いながら、おそらく本物のテロリスト、及びその秘密兵器というのは、こんな感じなのだろう。
　実際、あんなのが現在建設中の「岩国錦帯橋空港」にやってきたら、一発で閉鎖→計画永久凍結→補填に使われる市税がなくなる→市民大助かり、となって…イイネソレ！じゃない、大変な事になるな。
　地味に、しかし大量に不特定多数の人を死傷させる武器というのは、冷静に考えると確かに恐ろしい。どこかのパワードスーツ着たエロ社長が作るド派手な兵器なんてのは、案外使う側からすればナンセンスなのかもしれん。

　さておき。軍事マニアの方にとっては、美味し過ぎる２時間弱。そうでない人には、普通のアクション映画。偏屈な人には軍事主義万歳映像。本作を観て「これは鬼畜米英どもが再び我が国を占拠しようと企んでいる事を示唆する証拠映像だ」とのたまう赤色の人が出てこない事を、切に願う（笑）。

　そんなわけで、小生の評価は…、

　☆☆☆★★＋＋

　星３つプラスプラス！！