「幸せの教室」感想

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 トム・ハンクス製作、監督、脚本、主演のコメディドラマ。勤めていたスーパーマーケットを、大学に行ってない事を理由に解雇された男が、再就職を目指して入学したコミュニティ・カレッジで、やる気ゼロの女性教師と出逢う。


 「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー以来となる、トム・ハンクス×ジュリア・ロバーツの競演だけあって、それなりに期待していたのだが、やや煮詰めの足りない印象。

 フォレスト・ガンプのような一期一会、あるいは塞翁が馬的ストーリーに、新しい事を始めるのに年齢なんて関係ないんだぜ的メッセージを加味したかったのだと察するが、シナリオが甘いのか、はたまたキャラクターの使い方が悪いのか、終始ご都合主義な展開に見えてしまったのはいただけない。
 自分より二回り以上歳下の同級生たちとバイクをきっかけに仲良くなったり、たまたま人手不足だった知り合いのレストランで働かせてもらったり、ついにはニート夫と離縁寸前の女教師といい関係になったりと、最初のリストラを除いて、あまりに山谷がなさすぎる。
 別に、上記したような事があっていけないとは言わないが、同級生とのカルチャーギャップやスラングの違いに戸惑う、老眼でテキストの文字が読めない等の年相応の苦労、または若者達のトラブルに巻き込まれるといったハプニングが、もう少しほしかったところ。
 特に、トム演じる主人公にやたら親しく接するバイカーの女の子と、その彼氏との関係などは、いくらでも広げようがあったはず。要所要所に配置された伏線が、ラストに向けて一気に収束していく事こそ、この手の映画の醍醐味なのだが、そういった意味での爽快感もいまいち感じられなかったのは、実に惜しい。

 再就職のために通い始めた大学についても、途中からバイトや他の事がメインになってしまい、結局どこを焦点・終点としたいのかよく分からない状態に。
 これもおそらく、新しく始めた何かを基点にして、今まで知らなかった世界に触れていく喜びを演出したかったのだと邪推するが、どうにも一つ一つにまとまりがなく、また未消化な部分も多いため、いろいろ面白おかしい事をやっていた割に、思ったほど記憶に残らないと言う、残念な結果に。


 怪しい日本人(?)教授や「醤油」などのコメディリリーフに、画面の使い方は、さすが喜劇出身のトム・ハンクスらしい、センスの良さ。それだけに、もう少し何とかならんかったのかなと思ってしまう。
 いっそ自分で何もかもやらず、監督と製作だけに専念しておいた方がよかったかもしれない。とにもかくにも、2大ハリウッドスターのネームバリューはともかく、シネコンで大々的に上映するような内容ではないように感じられた。

 
 小生自身、大学なんて一度も行った事のない高卒低所得でも、これはちょっと理想論すぎないか?などと思えてしまった本作。これを観て「人生やり直そう」「いい年だけど、大学行ってみよう」と思う人が、果たして何人いるのだろうか…。

 
 そんなわけで、小生の評価は…、

 ☆☆☆★★−

 引っ越して一発目のレビューが、こんなのでいいのか?星3つマイナス!!



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