「ダーク・シャドウ」感想
18世紀、裕福でプレイボーイの青年バーナバス・コリンズは、魔女の呪いによってヴァンパイアに変えられ、地中深く生き埋めにされてしまう。200年後の1972年、永い眠りから覚めた彼は、すっかり没落してしまった一族を立て直すべく、子孫達とともに奮闘する。
「シザーハンズ」から数えて、8作目のコンビとなる本作。良くも悪くもここまで来ると、まったくいつも通りの世界観に、いつも通りのブラックユーモア全開のストーリー、そしていつも通りのジョニデの奇抜ファッションと、もはや定番、毎度お馴染み老舗の味状態。
それだけにいまいちインパクトに欠ける、つまりは面白くなくはないものの、面白みのあまりない内容だった。
大時代からやってきた男が、進歩した文明の利器を前におかしな行動を繰り広げる、なんて展開は、つい最近某古代ローマ人がやったばかりな事もあって、まるで斬新さも新鮮さもない。既にお約束ネタの域。
まして観ている側の多くにとって、1972年なんて中途半端な年代の方が未経験、あるいはピンと来ないに違いあるまい(ちなみに1976年生まれの小生もピンと来なかった)。
この手の物語を作るには、オリジナルが放送されていた時期に近いあの時代がもっともふさわしいと考えたのか、あるいは単純に監督が現代劇をやりたくなかった&70年代で撮りたかっただけなのかはさておいて、昨今の薄型テレビやiPhoneを見慣れた若人が、「携帯型」と呼ぶにはあまりにも巨大なポータブルラジオや、ほぼ正六面体のブラウン管、はたまたアリス・クーパーなど見せられ、どう思ったのか。少々疑問が残る。
また、ジョニデ演じる主人公・バーナバスをはじめ、登場人物の存在感の薄さ、ポジショニングの弱さもいただけない。
それぞれがいかにもティム作品らしい、個性的なキャラクター達が揃っていながら、効果的に動けていたとはお世辞にも言いがたく、結局バーナバスとエヴァ・グリーン演じる魔女アンジェリークに負けている。
中でも、クロエ・グレース・モレッツ演じるキャロリンと、ベラ・ヒースコート演じるヴィクトリアは、かなり重要な存在であったにもかかわらず、扱いが驚くほど軽すぎて、物語そのものも軽く思えてしまった。
他にもミシェル・ファイファーやヘレナ・ボナム=カーターといった名女優が顔を揃えているのだから、バーナバスの奇人変人ぶりを際立たせつつ、要所要所でそれぞれの持ち味を存分に発揮する事ぐらいできたはず。実にもったいない。
肝心のストーリーに関しても、コリンズ家が再興していく様子がダイジェストで、しかも断片的にしか語られてなかったり、まがいなりにも人を殺した事に何の責任もカタルシスもなかったり、ついには幽霊が一番強かったりと、随分アラの目立つ仕上がり。シリーズ化でも狙っているのか、いろいろ未消化な部分も見受けられ、途中から何度か白目に。
そもそも、自分を振った男をヴァンパイアに変え、地中深くに未来永劫閉じ込めておくのが目的なら、その場所の上にバカデカい石碑か墓石でも建てて、誰も掘り返さないようにしてべきじゃないのか?
その後、コリンズ家の末裔を逆に使用人としてこき使うとか、やりようはあったはず。何故わざわざ逆転のチャンスを残しておくのか、完全な戦略ミスである。
こういう雰囲気は嫌いではないし、70年代のアメ車もデザイン的に好きだ。が、全編通して良かったのは、バーナバスとアンジェリークの激しすぎるファイナル・フュージョン!!未遂(?)ぐらいでは、正直しんどい。
まあ要するに、だ。この映画が伝えたかった事は「女の嫉妬は怖い」、その一点に尽きるな、ウン(エー)。
そんなわけで、小生の評価は…、
☆☆☆★★
オマケの星3つ!!
何となく!!(キリッ)
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