「追憶の森」感想(超ライト版)


 ガス・ヴァン・サント監督マシュー・マコノヒー主演。ある理由から自殺するために青木ヶ原樹海にやってきた男が、そこで出逢った謎の日本人男性と不思議な縁を巡る旅をするミステリー。

 正直なところ、あまりピンと来ないというか、深く感情移入しきれない内容。サント監督らしい人間描写の上手さと、自殺の名所である青木ヶ原樹海の神秘的な美しさには、惹かれるモノがあったとはいえ、物語、あるいは登場人物の行動理念に理解しがたい面も多く、素直に楽しむことができなかった。

 確かに、亡くなった奥さんとの生前の関係、またはその死因をきっかけに、生きる事の虚しさに苛まれた男の再生劇という意味では、見応えのある脚本ではあるのだが、ややスピリチュアル方面に偏り気味で、全体的に説得力が弱く感じられてしまった。
 また、主人公と行動をともにする渡辺謙演じる中村の存在、及びその正体はともかくとして、悪い意味で不自然というべきか、たまたま居合わせたにしてはご都合観満載。少々ネタバレになるが、ならば何故、周囲に転がっていた主人公以外の自殺志願者たちの前に、彼が現れなかったのか、いまいち納得できない。

 割とこういう話しこそ、日本人が得意とするようにも思われるので、是非ともオリジナル要素含め、邦画でのリメイクを検討していただきたい。しかし、なぜハリウッドで日本の景色を撮影すると、うっすらと青みががって見えるのだろうか…。日本らしさを出すために、意図的にそうしているのか、あるいは気候や湿度の関係でそうなってしまうのか。ご存知の方、どうか教授を。


 ☆☆☆★★

 そういえば、渡辺謙氏の弱気な男の芝居って珍しいかも。星3つ!!

追憶の森 [ クリス・スパーリング ]
価格:1296円(税込、送料無料)




樹海の歩き方 [ 栗原亨 ]
価格:1620円(税込、送料無料)