追悼、水谷優子さん

 えー、訃報を知って丸一日以上経ちまして、まだ気持ちの整理とかできてる状態じゃなくて、むしろ水谷さんがもうこの世にいらっしゃらないという事実を全然受け入れられなくて、本当は仕事休もうかと思ったけど不思議なくらい身体は普通に動いて、でも脳みそのメインの部分はほとんど機能しないまま、補助エンジンだけでかろうじて反射的に動いてる状態で、それを自分でもこんなにショック受けて打ちのめされてるんだと客観的に自覚して、もうとにかく、哀しいとか寂しいとか、そこに辿り着く以前に、頭がずっと再起動しながら「あれ?今俺何考えたんだっけ?ああそうだ、水谷さんが亡くなったんだ…。えっ、水谷さん亡くなったの?えっ?えっ?」っていうのを繰り返してて、冷静のようですごく混乱しています。

 水谷さんの事を意識したのは、はっきりとは覚えていませんが、確か声優という仕事を知った直後ぐらいに放送していた「マシンロボ」だったと思います。その後、「天空戦記シュラト」「ジリオン」等、数々のヒット作に出演され、その可愛らしく、時に凛々しい御声を聴くうちに、気がつけば多くの同年代の方々同様、私自身もファンになってました。
 特に印象に残っているキャラクターは、「天地無用!」の美星さんで、今でも彼女は水谷さんご自身と同じく、私の永遠の憧れの女性像です。また、「YAWARA!」で演じられたテレシコワは、あの可愛らしい声から一転、低音の力強い演技に驚かされました。
 他にも、「スーチーパイ」のチェリーパイ、「爆裂ハンター」のショコラさん等、好きなキャラクターを挙げればキリがありません。それ以上に、水谷さんの事が、本当に、本当に大好きでした。

 23歳で運転免許を取った時、当時パーソナリティと務めていらしたラジオ番組にハガキを書き、採用していただいた回は、録音していたMDが擦り切れるほど聞き返しました。小中学生時代、毎日「死にたい、死にたい…」とそればかり考えていた私が、何度水谷さんの声と、出演されていた作品に助けられたか分かりません。私にとって水谷優子という声優は、声優である以上の、朝がくれば日が昇るように、夜になれば星が瞬くように、遠くにありながらいつも傍にいてくれる、そんな存在でした。

 自分でもメチャクチャな文章書いてるのは分かっているつもりです。しかし、今この瞬間この気持ちを、ここに書き記しておかなければ、水谷さんに救われた者の一人として、顔向けできなくなる気がするのです。ゆえに、恥を忍び、回らない頭でない知恵を絞り、勝手ながら哀悼の意を表させていただきます。

 正直、あなたにいただいたたくさんの思い出、心、それら全てを言葉で表すには、一生分の感謝を百万倍にしても足りません。あなたの素晴らしい演技と声、そして出演された作品は、本来とっくに死んでいたはずの私に、生きる力をくれました。紛れもなく、あなたは私の、命の恩人です。

 結局、一度もお逢いする機会はありませんでしたが、あと少しすれば、私もそちらに伺うと思います。行き着く先は異なるかもしれませんが、もしそちらで万が一にもお逢いする事ができましたら、その時は直接、お礼を言わせてください。


 これ以上に気の利いた言い方を思いつけない、無礼をお許しください。水谷優子さん、今まで本当に、本当にありがとうございました。あなたを好きになって、あなたのファンで、本当によかった。ありがとうございました。ありがとうございました。