「フィフス・ウェイブ」感想
リック・ヤンシー原作の同名小説を、「アリス・クリードの失踪」のJ・ブレイクソン監督、「キック・アス」のクロエ・グレース・モレッツ主演で映画化。異星人「アザーズ」による4度の攻撃で、壊滅状態と陥った地球を舞台に、生き別れた弟を探すべく、過酷な旅に出る少女の奮闘を描く、SFアクション。
謎の超巨大飛行物体襲来により、世界中の全てのエンジン・電子機器が使用不能に。さらに大規模な天災、伝染病と、徐々に、しかし確実に人類が追い詰められていく中、人間に寄生し、見た目そのままに心身丸ごと乗っ取る侵略異星人の存在まで発覚。生き残りを賭けた、人類と「アザーズ」との全面戦争が始まる…!!ってな感じのあらすじで、確かにここだけ読めば、多くの人が「2012」と「感染列島」と「インディペンデンス・デイ」と「ワールド・ウォーZ」その他諸々をミックスしたような、超豪華詰め合わせディザスタームービーを期待するに違いない。
が、いざ蓋を開けてみれば、開始約10分でディザスター要素はほとんど消化、その後は某ハンガーなんとかゲーム、あるいは某ダイバーなんちゃらジェント的な、ヤングアダルトもの展開に終始という実にゆるい出来で、ハードルを若干上げ気味にしていた分、落差も直滑降レベル。
あとあと調べてみたら、やはり原作からしてその手のヤングアダルト小説、しかも例によって3部作と知り、事前に分かっていれば回避できたものをと、後悔した次第。とはいえ、映画は観ないと分からんものではあるし、もしかしたらという事もなくはないので、それでも観に行かざるを得ない我が身が呪わしいところ。まあしかし、こうしてブログ一日分のネタにはなったのだから、それなりの価値はあったのだと、思う事にしよう、ウン。
と、さりげなく行数を稼いだところで(エー)、ようやく本題(エーー)。上述したとおり、おそらく予算のほとんどを突っ込んだであろう、冒頭の停電と飛行機落下、そして大津波のシーンはなかなか迫力満点。その後の、謎の感染症で人がバタバタと死んでいく場面までは、それなりに緊張感もあってよかったものの、残念な事にそこがピーク。残りはなんというか、どっかで観たような安っちい誰かの陰謀的スリラーと、どっかで観たような安っちい謎のイケメン登場と、どっかで観たような安っちいラブロマンス、そしてクライマックスもどっかで観たような安っちいガンアクションと、途中から「アレ?観る映画間違えたっけ?」と混乱する事必至。
弟救出のため、一人過酷なサバイバルを続ける主人公演じるクロエたんは相変わらず可愛く、演技もまあまあ。その弟と同じく拉致られた主人公の片思い相手の、何故か異星人と戦う兵士にさせられるチームから見た、二重構造もそれなりに悪くはなかった。が、その主人公じゃない側がまた、ド定番のクソ退屈な訓練シーンの連続と、「スプラトゥーン」以下の迫力の銃撃戦と(イカだけに)、かなり早い段階からバレバレの敵の正体と、判で押したようなグダグダゆるゆる展開。
聞けば、最近ではキーワードを入力すると、マッスィーンがネット上から情報を勝手に収集し、小説の出だし部分を自動で考えてくれるソフトが存在するらしいが、本作もまた、ネット上から適当なエピソードを拾い集め、適当に手を加えてそのまま張り付けただけではないのか?という疑問され浮かんでしまった。製作にクレジットされるトビー・マグワイアは、一体この物語のどこに惹かれて映画化に至ったのか、他にもう少しマシな原作はなかったのか、是非とも一度伺ってみたいところ。
少々ネタバレにあるが、そもそも電子機器や車のエンジンが動かなくなっている状況で、米軍だけ堂々とスクールバスや戦闘車両なんぞに乗っている時点で、怪しいと思われないはずがないし、別に未成年じゃないと使えない武器があるとか、倒せない相手がいるってわけでもないのに、わざわざ子供達を兵士に仕立て上げて戦わせようなんて、無理がありすぎる。その前に、自称世界一勇敢で優秀なメリケンの軍隊が、エイリアンどもに鉛の弾丸をたらふく喰らわせて、ミンチにするかケツの穴を増やしてやってるに決まっている。
どうせ三部作にするつもりならば、いっそ5つの波状攻撃一つ一つにじっくり時間をかけ、徐々に追い詰められながらも必死にサバイブし続ける人類と、それぞれの人間模様にフォーカス、敵の正体が判明するかしないかのギリギリで「第2章へと続く…」とした方が、よっぽどいいモノが撮れたのではないか。むしろ、個人的にはそういう映画を期待していたのに、ここまで悪い方向に予想を裏切られるとは、逆に驚いた。
どこまで原作どおりかは、例によって存じ上げないが、人から金を取って見せる以上、可能な限り映画作品としてサティスファクションを提供できるモノに仕上げてくるのが、製作者の義務であり責務ではないのか。正直、もし数年後にこの続編が公開されたとしても、進んで観に行きたいという奇特な方は、そうそういらっしゃらないと察する。
あれだけ色々やっていながら、まともなのは天災のシーンと、クロエたんの尻と太ももだけ。繰り返すようだけど、もういい加減この手のゆるゆるヤングアダルトものはノーサンキュー。
☆☆☆★★−−−
クロエたんの可愛さに免じて、大マケにマケての星3つマイナス3つ!!
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