「希望の力よ! 光の意志よ!」「未来へ向かって、突き進め!」


 いや、いやいや、冗談抜きにまさにコレじゃん。初代の必殺技レインボーストームの掛け声そのままみたいな物語だったじゃん。プリキュアという作品の系譜が、こういう形で継承・具現化されてるんだよ、間違いなく!

 さておき、とうとう来てしまいました、「Go!プリンセスプリキュア最終回。

 クローズさん、まさかのラスボス化。放送開始から1クール待たずに退場した頃から考えると、とんでもない大出世だけど(オイ)、戦いが繰り返されるという暗喩と、「花のプリンセス」のストーリーを考慮するに、むしろ必然かもしれん。

 しかし、これまでのようにブッ倒したり、ムダに仲良くなったりではなく、あくまで絶望を夢と相反する存在としながら、それさえも自分を育ててくれるものだと認め、受け入れる事で、極めて優しく、美しい形で戦いを締めくくったのは、本当に素晴らしかった。
 「今回は」負けを認めて大人しく消えたクローズさんだけど、ディスダーク=絶望が完全に消滅したわけではない。それでも、否、それさえも、実はすごく大切であり、失敗も挫折も、骨肉となって自分を強くしてくれる。そして夢を見る人がいる限り、その営みはどこまでも、連綿と続いていく。
 その事を、本作はプリキュアディスダークとの戦いという形を借りて、チビッコ達に説いたのだと断じたいね。だからこそ、フローラさんは去っていくクローズさんに、まるで親しい友人のように心からの「ごきげんよう」が言えたんだと、勝手に信じる。

 まさしく、かつて「バスケットボールの神様」マイケル・ジョーダンが語った私は9000回以上シュートを外し、300試合に敗れた。決勝シュートを任されて26回も外した。人生で何度も何度も失敗してきた。だから私は成功したんだ。I’ve missed more than 9000 shots, lost almost 300 games. 26 times, I’ve been trusted to take the game winning shot and missed. I’ve failed over and over and over again in my life.And that is why I succeed)の具体だよ。未就学児には難しくてよく分からないかもしれないけど、その子が成長して、何か夢を見つけた時、あるいは何か始めようと思ったとき、ふと今日のフローラさんを思い出してくれると嬉しいし、作り手さんとしても、無上の喜びなんじゃないかな。

 Bパートも、戦いを終えて普通の女の子に戻った彼女たちが、友と離れ離れになる寂しさや辛さや痛みを抱え、涙を流しつつも、それぞれの夢に向かって笑顔で突き進もうとしている姿と、少し大人になった彼女達の未来の姿に、物語が終わった後も彼女達の世界と人生は続いて行くんだと感じられて、こっちも思わずもらい泣きしてしまったよ。つーか、今こうしてブログ書きながら、また思い出し泣きしそうになってる(笑)。
 人間界に残ったシャットさんロックさんを含め、今まで登場したキャラクターほぼ全員、自分の道を歩んでいこうとしている様子で、もはや全てにおいてグッド。否、ベリーグッドを通り越して、エクセレント、マーベラス、ファンタスティック。こんなに素晴らしい作品を一年に渡って視聴出来て、本当に良かった。
(そういえば、本作で消滅したメインキャラクターは結局ディスピア様だけだったな…)

 これまでも繰り返し書いてきたとおり、本作はプリキュアというシリーズを、一度女児向けアニメとして再構築し、新生させる目的があったと邪推しているけども、その目論見はものの見事に、否、目論見以上に大成功したと断じていいんじゃないかと。
 第一話から最終回までの全50話、ただの一話もムダなく、もれなく一本の大河ドラマとしてまとめ上げた奇跡的な構成もさることながら、中だるみも蛇足もなく、おまけに目立った作画崩壊もなく、完璧な形で完走しきったスタッフさんの尽力には、ただただ脱帽と称賛と尊敬の意を贈りたい。
 加えて、各エピソードのどれもが、こちらの想像・想定するレベルを遥かに凌駕。期待値を10とするなら、最低でも予想通りの10が数回、他は常に12〜15、場合によっては20越え、100点満点でいえば、どんなに少なく見積もっても150点〜200点という、とにかく圧倒的且つ驚異の完成度で、毎回度肝を抜いてくれた点も、高評価のさらに上の高々々々評価。

 誤解を恐れず言えば、ハートキャッチプリキュア!が、それまでのシリーズの集大成にして、やるべき事をすべてをやりきった、いわばプリキュアを完成させ、終わらせた作品」だとするなら、本作はその枠を守りつつも、さらにその先にある次の可能性へと踏み込み、限界を突破した「到達点」に辿り着いた作品であると称する。

 とにもかくにも、この作品に対する称賛と、敬意と、感謝を表現するには、高卒低所得の小生のボキャブラリーでは足りなすぎる。それぐらい、本作は徹頭徹尾、何もかもが素晴らしかった。何もかもが、つよく、やさしく、美しかった。おそらく向こう20年、本作を越えるだけの作品は生まれないだろう。

 次回作魔法使いプリキュア!」もガッツリ楽しませていただきます。本作に関わられた全ての方々、素晴らしい作品を本当にありがとうございました。この作品に出逢えた事は、小生にとってこの上ない宝物です。