「仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス」感想


 2009年から続く、新旧仮面ライダーによるクロスオーバームービー第7弾。全知全能の神を名乗るダヴィンチ眼魔に、ゴーストドライブが時空の超えた戦いを挑む。

 既に年末恒例となった本シリーズ。正直、刑事とお化けって組み合わせとしてどうなんだろうと懸念していたが、キャラクター、世界観ともに、想像以上に相性良く、過去の同シリーズと並べても一、二を争うほどの完成度に仕上がっていたと評したい。

 作品ごとにパートに分け、最後に共通の敵を倒すために合流する、それまでの数本立てパターンを廃止。最初からゴーストチームとドライブチームが一緒になってストーリーを展開させることで、映画ならではのやりとりや、思わぬ相乗効果、例えば亡き父に対するタケルしんちゃんそれぞれの想い、過去と未来を繋ぐ家族の絆、リケジョ同士の友情劇(?)等が盛り込まれ、より深い人間ドラマを作り上げる事に成功している。
 特にドライブは、しんちゃん霧子さんの関係をはじめ、主要登場人物に決着をつける意味では、この上ない形で締めくくられたと察する。

 10年前の世界と現在が交錯する仕掛けもなかなかに秀逸で、多少「それ、タイムパラドックスとか起きるんじゃね?」とお約束のツッコミを入れてしまいたくなるような場面もあるものの、ゴーストの不可思議要素と、ドライブの謎解き要素が、これまた見事にシンクロしていると感じられた。

 個人的に特筆したいのは、最後に新旧ヒーローが、本当の意味でのバトンタッチを果たしたといえる点。例によって詳しくは書けないが、一年間世界を守るために戦ってきたドライブと、これから一年ちょっと戦っていくゴーストが、お互いを認め合い、ガッチリと熱い握手を交わすシーンは、これまで本郷猛=ライダー1号から連綿と受け継がれてきた仮面ライダーの、ひいては大時代から人々の平和を守るため戦ってきたヒーロー達の魂を継承していく事の具体のようでもあり、胸に込み上げるものがあった。

 主人公二人の共闘はもちろん、マッハチェイススペクターの揃い踏み、さらには西村和彦さん演じるタケルの父・天空寺龍霧子さんも生身でキッレキレの動きを披露。おまけに、御成りんなさん達非戦闘員、片岡鶴太郎演じる仮面ライダーまで参戦と、アクション面もスペシャル仕様。
 中でも、ダヴィンチ眼魔の最終形態登場シーンは、「ひょっとして、火薬の量間違えたんじゃないのか?」と疑りたくなる大爆破の連続で、生身で近くにいた演者さん何人か死んでてもおかしくない、ちょっと頭おかしいレベル(オイ)の大迫力だった。

 欲を言えば、復活したハートさん達にも、もう少し見せ場が欲しかったところ。それから、戦闘シーンが途中でブチ切られる場面が何度かあったのは、正直惜しい。「奴ら、とんでもなく強くなってやがる」のはヨシとして、それでどうして無傷で帰って来られてるのか、それもバタフライエフェクトの影響か?と首を傾げてしまった。
 ストーリーの展開上、尺を避けなかったのかもしれないし、何度も負けて撤退するのも情けないから、カットしたのだろうか。確かに、無理に入れるとテンポが悪くなる可能性があったものの、それだけちょっと納得いかなかったというのが、小生の見解。

 とはいえ、他に大きなマイナスポイントも見受けられず、全体としてはシリアスも笑いも取り込んだ、非常にバランスの取れた内容。中盤、竹中直人鶴太郎による、チビッコには絶対伝わらない玄人向けミニコントにも注目。

 つーか、21世紀生まれに「飛びます、飛びます」とか「なんじゃいこりゃあああ!!」とか分かんねぇよ(笑)。



 ☆☆☆★★+++

 でも一番面白かったのは、普通に結婚式に参加して、満面の笑顔で拍手してるスペクターだけどね(エー)、星3つプラス3つ!!