「映画 ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜」感想


 イギリスのアニメスタジオアードマン・アニメーションズ制作の人気ストップモーションアニメ、初の長編映画化。

 同シリーズについては、実はまったく存じ上げず、初の映画化と聞いて「アレ?前に萩本欽一さんが声優を務めた映画がなかったっけ?」と本気で思ってしまった(ちなみにそれはウォレスとグルミットで、どうやら本作は、そのスピンオフシリーズらしい)。
 そんなわけで、当初は鑑賞予定になかったものの、ネットでの評判もすこぶるよく、ついでに期限切れ間近の無料鑑賞券を消化しときたかったという安易で理由で、臨んだ次第。

 でまあ、結論を言うと、めちゃくちゃ面白い。無駄がない、観てて飽きない、笑って泣けると3拍子揃った、限りなく完成された作品。単純に比べられるものではないにせよ、日本のヲタク向けアニメや、ディズニーのフルCGアニメとは一味違う進化を遂げた、全年齢全方位楽しめる良作と評したい。

 とにかく、ぬるぬる動くクレイアニメはもちろんの事、テンポよく展開していくストーリーがまた気持ちいい。極めてシンプルな内容とはいえ、セリフらしいセリフもなく(動物の目を通して見ている世界という設定なので、人間の発する言葉もちゃんとした声になっていないように聞こえる)、表情や身振り手振りだけで、登場人物と羊たちの言動、あるいは心境が、観客にはっきりと伝わり、尚且つ適度に笑え、適度にハラハラドキドキでき、そして適度にウルっと来させる構成の上手さは高ポイント。

 また、元がショートアニメのためか、場面ごとの各エピソードが非常にしっかりしており、例えるなら出来のいいストーリー四コマ漫画のような、絶妙なバランスも見事。羊が二足歩行で、車の運転するわ、人間に化けて街を闊歩するわ、おまけにチョークでトリックアートを披露するわと、ある意味「天才バカヴォン」よりぶっ飛んだ話しではあるものの、それだけに頼るサムい一発ギャグの連発みたいな愚を犯さず、あくまでこの世界観で何ができるかを熟考し、最善と思える形に辿り着いた結果に違いない。スタッフ各位の真意な製作姿勢に、心より敬意を表する。

 まあ正直なところ、これ以上書く事もそんなにないのだが(エー)、それだけ捨てるところのない、文字通り羊肉みたいな良作。日本も見習え!とはまでは言わないが、盗むべきものはたくさんあるかと。

 じゃ、超簡単だけど、今回はこんな感じで。


 ☆☆☆★★+++

 「面白い」って、こういうのでいいんだよ。星3つプラス3つ!!


(オイ)