「福福荘の福ちゃん」DVDで視聴

 前々から、大島美幸森三中はお笑いがダメになっても、女優で食っていけると思っている。もちろん、決して美人ではないが、むしろブサイクだが、ああいうキャラクターと雰囲気を持った逸材は、実はそうそう見当たらない。今からしっかりと経験を積めば、例えば主人公が下宿する寮の寮母さんや、亭主を尻に敷いてる近所の弁当屋のオバチャンといった、今でいうならあき竹城さんのような名バイプレイヤーにいずれなれるのではと、睨んでいる。

 で、そんな彼女がまさかの男役で主演した本作だが、正直気を衒いすぎて悪ふざけが空回りする、日本映画の悪い癖がまたしても露出したような出来。それ、君以外で誰が面白いと思うの?と真顔で尋ねたくなるサムいギャグの応酬に、せっかくのシリアスシーンも台無し。
 まあ、最初から過度な期待はしていなかったけども、もう少し何とかならんのかと、苦言の一つも呈したくなる。

 ただ、大島の存在感は非常の良好で、確かに演技は上手くはないものの、作業着着て荒川良々と並んでも違和感がないのは素晴らしい。その意味では、彼女の今後を占う試金石としては、割とよい材料だったともいえる。

 あと、本作に限らず、最近のこの手の作品が、やたら「静か」なのは流行りなのか?BGMがあまり使われていないせいか、場面が常に「シーーン」としている印象を受ける(ダジャレじゃないよ)。
 単に音響にかかる経費をケチったのか、何かしらの効果を期待したのかは定かではないが、もうちょっと考えていただきたいところ。