「映画 プリキュアオールスターズ 春のカーニバル」感想


 毎年恒例、歴代プリキュアが一堂に介するスペシャルコラボムービー第7弾。歌とダンスの国・ハルモニア王国に招待されたプリキュア達の活躍を描く。

 これまでの「DX」「NewStage」とは打って変わり、タイトルどおり歌とダンスのお祭り要素にウェイトを置いた本作だが、その出来は正直微妙。総勢40人という大所帯を鑑みても、方向性は間違えていないと思う半面、要領を得てない面も多々見受けられ、今後の課題を残す格好となった。

 まず全体の流れとして、ストーリーパート、ステージパート、そして戦闘パートのバランスが悪く、且つ、それぞれの作りがお世辞にも上等とは言い難い。今回の敵役である盗賊二人がムダに出突っ張りな点もそうだが、コメディリリーフとしても、悪役としても中途半端だったがために、緊張感も抑揚もなく、いまいち盛り上がりに欠ける。

 そもそも、なぜプリキュアという幼女向けアニメ作品の映画で、あんなよく分からん連中がここまでフィーチャーされたのか。小生自身、生まれてこの方、奴らを面白いと思った事がただの一度もないのはさておき、なまじっか何でも器用にこなすため使いやすいのかもしれないが、その分どこにも突き抜けない、極めて無個性で面白みのないキャラクターになってしまった観は否めない。しかも中盤、調子に乗って歌まで歌いやがるので、ぶっちゃけ邪魔で仕方がなかった。
 一体誰得狙いなのかは与り知らないが、あれなら台詞2、3行のチョイ役で充分。むしろ、それ以上の仕事を与えてはいけないし、その分他のメンバーの出番を増やすべき。完全な人選ミスと断じる。

 また、肝心のダンスにしても、途中止め絵の回想シーン等がやたらと挿入され、ほとんど細切れ状態に。単純に予算がなかったのかもしれないが、中には冒頭と最後の数秒だけという場合もあり、期待していた分ガッカリ。確かに、テレビシリーズのその後を描いたような場面や、各シリーズの脇役が多数登場等、嬉しい要素もあったにはあったとはいえ、せめてワンフレーズだけでも、きっちり踊りきってほしかったところ。
 さらに欲を言えば、せっかくのスペシャルムービーなのだから、歴代主題歌メドレーをみんなで踊るぐらいのサービスがあっても。CGの出来そのものは非常によかっただけに、何とも残念。ハップップー。

 バトルも、後半にチョロっとだけ。しかし何より腑に落ちないのは、歌とダンスがテーマだとして、それがものすごくご都合的に使われていた点。プリキュア全員を襲う大ピンチに対し、突然歌い出したら不思議な力で万事解決という謎展開には、会場にいたチビッコ達もさすがに唖然としていた。
 絶体絶命のピンチこそ、どうやってそれを乗り越えるかが物語の醍醐味であるはず。まして、ウォー!!って叫んだら奇跡が起きた、なんてのは一番つまらない展開だと、長年子供番組を作り続けてきた東映アニメーションさんならご存知と察する。上記した色々な点も含め、なぜこの脚本でOKを出してしまったのか、実に不思議でならない。

 年2本のペースで劇場アニメを制作していると、どこかで無理も生じるのだろう。むしろ、ここまでよくあれだけのクオリティを維持していただいたと、賛辞をお送りしたいところ。既に秋の映画も制作決定だそうなので、今回の教訓を活かし、秋といわず来年以降も、よりよい作品作りを心掛けていただきたい。

 余談だけど、今年もえりか様はフリーダムで可愛かった(笑)。いっそ、彼女主役で一本撮ろうよ、マジで(ムリ)。


 ☆☆☆★★−−

 エンドロールのモー娘。は…、まあいいや(エー)。今回は厳しめに、星3つマイナスマイナス!!


 ひめ様、案の定吹かせてたよ。プリンセスプリキュアに先輩風ピューピュー吹かせてたよ(笑)。