「烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE」感想


 何気に本作で20周年となる、新旧戦隊のクロスオーバームービー「VSシリーズ」最新作にして、スーパー戦隊祭」の第7弾。悪の創造主・デビウスの野望を打ち砕くため、トッキュウジャーキョウリュウジャーがタッグを組んで大活躍。

 プリキュアを含めると、年に6、7本のペースで公開されている東映のヒーロームービーだが、その中でもこの「VSシリーズ」はハズレの少ない、実はもっとも信用できるシリーズではないかと思う。

 で、今回は共に単体での作品完成度も高いトッキュウジャーキョウリュウジャーのコラボ。案の定、想像していたとおりの、すっきりと観易い、それでいてドラマ面も充実した、内容、料金、尺、全てが大満足の出来。

 人間離れした豪快さがウリのキョウリュウジャーと、コミカルさの中に言いようのない闇を抱えるトッキュウジャー。適度にギャグを加えつつも、お互いを認め合い、友情が芽生えて行く過程を丁寧に、しかしチビッコにも伝わるよう咀嚼された脚本は、相変わらず見事。トッキュウジャーもそうだが、やはりキョウリュウジャー小林靖子ニャンとの相性は抜群。何なら、今からでもVシネで一本書いていただきたいところ(ムリ)。

 また、シャドー怪人の攻撃により、子供の姿に戻されてしまったライト達の変身&アクションはもちろん、彼らの一人間としての心境、自分達のできる事、やるべき事にフォーカスし、決意を新たにする過程、そして、そんなライト達を当初格下のような扱いをするも、徐々に男として、戦士として認めていくキング達の心の変化を、巧みに映し出す構図も素晴らしい。
 小生は常々、昨今の(こういう言い方をすると、いかにも旧態依然とした頑固ジジイのようだが…)映像作品などの創作物を観るにつけ、ギャグとシリアスのバランスの悪さ、シナリオ構成の拙さ等を指摘しているが、若いクリエイター及びそれを目指す若人は、こういう優れた先人の技術に能動的に触れ、もっと積極的に盗むべきではないのかと、勝手な老婆心を呈してみる。

 確かに、まったく完璧な出来とは言いがたく、気になる点や不満点も多々ある。例えば、トッキュウジャーの代名詞である乗り換えチェンジがなかった事、制限時間の一日があまり効果的に使われていなかった事、ギャラクシーラインの問題でもあるのに、まいんちゃんの援護が一つもなかった事、等々。
 それから欲を言えば、せっかく獣電池レッシャーの交換があったのだから、映画ならではの展開、それこそキョウリュウレッドトッキュウ一号の乗り換え、なんてのも観たかったところ。

 まあとはいえ、これ以上を望むのは贅沢というものだし、諸々を考えれば充分以上の仕上がり。笑いあり涙…はないけどドラマはあり(エー)、さらに待望の関根さんのアクションシーン参戦あり(ソウカ?)。毎年言う事だが、これで大人一律1200円で記念品までついてくるのだから、お得にもほどがある。

 なぜか関根さんのコネと思しきキャイ〜ン・天野くんのゲスト出演、さらに恒例の新戦隊プレデビューにも注目。今、間違いなく日本で一番全うなアクション映画。

 ☆☆☆★★++

 春の「スーパーヒーロー大戦」も、せめてこのくらいのクオリティならいいなぁ…、星3つプラスプラス!!