「her/世界でひとつの彼女」Blu-rayで視聴

 去年の夏頃、予告動画で「面白そうだなー」と思いつつ、結局観られなかった作品。この度、満を持してのレンタル。

 良く言えば、大人向けのサイバーファンタジー。悪く言えば、厨二系痛オヤジの一人相撲ラブストーリー。傷心の中年が、自己進化する対話型AIとの恋(?)を経て、新たな一歩を踏み出す物語で、期待していたとおりシナリオの文法的な美しさと、噛み締めるような痛みとほろ苦さを孕んでいる。
 ただそれだけに、観る人を相当に選ぶだろう事は否めなく、例えば作中、主人公演じるホアキン・フェニックスが、デートと称して端末とともに街中を大はしゃぎしながら走り回るシーンなど「ステキだ」と思う人と、「うわ、キッツいなーこのオッサン…」と思う人の両方いると察し、同時にその反応が、本作に対する評価そのものに繋がるのではと推測する。

 もっとも、個人的にはサマンサ演じる林原めぐみ閣下のエロボイスと隠語の数々が聞けただけでも、観る価値はあったなと(最低)。ちなみに、オリジナル版はスカーレット・ヨハンソンが演じているそうな。もちろん声だけで。

 それにしても閣下は、声質のせいか機械的なしゃべり方が本当に上手い。スレイヤーズリナ=インバースのような元気いっぱいキャラもよいが、淡々としながらも、しっかりと心を感じられる、暖かみのある喋り方が特に素晴らしい。我々世代にとっては既にレジェンドだが、いろんな意味でこの人の存在を越える声優さんは、おそらく今後も現れないだろう。

 まあとにかく、明日からまた映画レビュー再開しよう。うん、できればだけど(エー)。