「マレフィセント」感想
「トゥームレイダー」シリーズのアンジェリーナ・ジョリー×「SUPER8/スーパーエイト」のエル・ファニング主演。1959年公開のディズニーアニメ映画「眠れる森の美女」を、悪役の魔女マレフィセントに視点から描いたアナザー・ストーリー。
勧善懲悪の物語を、悪役とされる側から観るという、これまでも多くの作品に取り入れられてきた手法ではあるが、ディズニーの中でもクラシックに分類される有名な童話で試みようというのだから、同社のチャレンジスピリッツにはまったく頭が下がる。
否が応でもハッピーエンドを求められるその性質上か、人物設定やクライマックスの展開など、大部分で脚色が見られるものの、ムリヤリ感あるいは矛盾は特に感じる事もなく、いわばオリジナルとは並行世界にある「if」ストーリーとして、すんなりと受け入れる事ができる仕上がりになっていた(もっとも、それは単純に小生がオリジナルをボンヤリとしか知らないからかもしれないが 笑)。
「アナ雪」と同じく、今回もまた家族愛を前面に押し出した内容であったが、それに加えて、これまで絶対の正義として描かれる事がほとんどだった人間側の、エゴや邪な感情といった部分にしっかりとスポットを当てている点にも注目したい。
あくまで邪推だが、これほどの態度の軟化には昨今の世界情勢、特に何でもお前らが悪いアルと騒いでいる某国と、何でも自分達が被害者ニダと喚いている某国を見るにつけ、俺らもアイツらと同類と思われたらかなわんな、または今まで世界の警察を気取って色々やってきたし、そろそろ自分達の考えを押し付けるの止めようという、アメリカの「ちょっと大人にならんといかんな」観が見え隠れしているように感じられる。
同時に、2組に1組が離婚すると言われるかの国において、血の繋がらない親子も珍しくないものと察するが、そうした家族に対する「愛情とは、血ではなくお互いを想い合った時間と気持ちだ」というメッセージのようにも思える。まあ、小生にそんなものは1ミリもないけど(エー)。
そんな簡単な話しじゃない事は百も承知だが、今一度このくらいプリミティブな視点まで落として考えてみようぜという、ディズニーなりの愛情表現、あるいは愛国心なのかもしれない。映画ぐらい、国境も人種も関係なく楽しめれば、世の中はもっと平和になるはずなのだが…。
さておき。マレフィセント役のアンジーは、いつもながらの高い演技力と美貌はもちろんの事、照明とキャメラアングル次第で善人にも悪人にも見せる超絶技を披露。頬こけメイクがやや不気味だったものの、あのふざけた形の頭巾も含め、衣装、美術、効果が見事に作用し、妖精の女王というキャラクターを完璧な形で作り上げている。まさにハマリ役にして、スタッフの尽力による勝利と評したい。
オーロラ姫演じるエル・ファニングもまた、16歳とは思えない堂に入った、しかし可憐且つ清楚な演技で観客を魅了。身長170cmと、実はアンジーとそんなに変わらないタッパながら、しっかりと小娘感を出せていたのは、子役から積み重ねてきたキャリアと、彼女自身の魅力の賜物に他なるまい(ちなみに姉のダコタ・ファニングは166cm)。同じく子役から活躍してきた安達祐美が、約20年ぶりの主演映画でついにTKBを晒すこの時勢、彼女のさらなる飛躍に期待したい(ドユコト?)。
正直、あんなトンキチ親父に国王が務まるのか?とか、途中で出てきた王子は結局使い捨てかよ、とか、あのオバハン妖精のウザさは何とかならんのか、とか、言いたい事は多々あるが、まあその辺はメルヘン特有のご愛嬌という事で。個人的には、「アナ雪」より好き。
☆☆☆★★+++
余談だけど、マレフィセントが森を飛ぶシーンもなかなかの迫力。完全に「プレーンズ2」より上(エーー)。星3つプラス3つ!!
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