「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」感想


 全国のファン(通称・プロデューサーさん)から熱烈な支持を集める、バンダイナムコゲームス制作のアイドル育成ゲームを原作とした、2011年放映のテレビアニメシリーズの後日談。

 当然の事ながら、最低限テレビシリーズ視聴済み、できればオリジナルのゲーム版もプレイしておくのがベターで、登場人物の多さと、その相関を理解していない一見さんには、かなり厳しい内容。それでも、各メンバーの個性を可能な限り咀嚼し、それぞれに見せ場を持たせる事で一つの群像劇として見事に機能させている点は、高評価。

 また、「MILLION LIVE!」からのゲスト出演となる、主要メンバーのバックダンサーを務める新人の子達と対比させることで、これまで彼女達がアイドル活動を通じて培ってきた成果を客観的に見せると同時に、いつの間にか誰かに憧れられる存在にまでなっている事を、具体的に表現してみせている。特に、本作のメインの視点となる天海春香と、トップアイドルになる事を夢見る新人・矢吹可奈、及び水瀬伊織北沢志保は、月並ながらそれぞれかつての自分を重ね合わせるような、それでいてお互い本質的に普通の女の子である事に変わりないと証明する、何とも憎い関係であった。

 惜しむらくは、本作の最終目的でありクライマックスのライブシーンが、たった一曲で終わってしまった点。そこまで約2時間近く紆余曲折やってきたのだから、せめてもう2、3曲、メドレーでもいいので歌ってほしかったところ。
 それからものすごく細かい事だが、そのライブシーンでのサイリウムのCGが、いかにもな手抜き(ゲーム画面のまま?)で正直ガッカリ。気にしなければどうという事でもない箇所なのだが、本作を集約する一番大事な場面だけに、もう少し拝領していただきたかった。

 まあとはいえ、何だかんだでキレイにまとまっていたし、長年同シリーズを応援していた人にとっては、最良のご褒美ムービーかもしれない。それにしても、現在まで続くアイドルアニメブームの草分け的存在ともいえる作品だけに、やはりキャラクターの使い方、見せ方、ポジショニングの上手さには一日の長を感じる。今後この手の作品を手がけるスタジオは、是非ともこの手法を学び、且つオリジナリティ溢れる作品作りを目指していただきたい。

 分かってんのか、!!(エー)


 というわけで、かなり短目になってしまったけども、今回はこんな感じで。つーか、あの冒頭のニセ予告、まさか本気で作るつもりじゃあるめぇな…?


 ☆☆☆★★+

 欲を言えば、やよいの出番がもうちょっとあってもよかったかなーと。星3つプラスだよ、うっう〜!