「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」感想


 「帽子を脱いだナポレオン」アラン・テイラー監督「ラッシュ/プライドと友情」クリス・ヘムズワース主演アベンジャーズ新プロジェクトにして、2011年公開マイティ・ソーの続編。

 さすがにニューヨークをド派手にぶっ壊した後だけに、若干スケールダウンの観は否めないものの、全体としては大したマイナス点もなく、非常によくまとまっていたという印象。

 ストーリー的には、それほど特筆すべき点はなく、見せ場である宿敵ロキとの共闘も、まあそうなりますよねぇってな具合。はっきり言えば、ありきたりな内容。しかし演出がいいのか演技がいいのか、はたまた脚本がよかったのか、例えばソーの世界アスガルドと人間の世界、魔法と科学、シリアスとコメディといった、各パートのバランスが秀逸、且つメリハリの付け方が抜群で、シンプルながら観客を飽きさせない。前作ではソームジョルニアを手にするのが後半になってからという事もあり、やや少なめで消化不良に思えたアクションシーンも、今回は冒頭からクライマックスまで目白押し。思いのほか満足の出来だった。

 個人的に注目したいのは、コミックリリーフの使い方。ヘタに狙いに行かず、かといって引っ込み過ぎない、実に自然な形で笑いを入れている点も含め、本来ならガッチガチで面白くも何ともないはずの物語に、適度な緩急をつける要素として、見事に作用している。中でも、カット・デニングス演じるダーシーは、前作以上にその存在感を発揮。一見して単純なアホの子キャラだが、その実確かな知恵と行動力を持ち、時に場を和ませ、時にトラブルを巻き起こすポジションとして、十全に活躍してくれた。
 彼女がいる事で、本作の完成度が格段に上昇したと言っても過言ではあるまい。余談だが、時空の歪みによって地下鉄に飛ばされたソーが、何食わぬ顔で電車に乗り込むシーンは相当に笑った。ただ殴り合ってぶっ壊しまくるだけでなく、笑いもあり涙もあり、ついでにロマンスもありの、意外と様々な要素がギュッと詰まったエンターテイメント作品と評したい。

 正直、かなりの強敵だったにも関わらず、ソー側の存在感が強すぎて、敵役の影が若干薄めだったり、例によって多分にご都合な部分が見受けられたり、何と言っても次のアベンジャーズのための繋ぎ観がハンパなかったりと、色々言いたい点はあるが、まあその辺はご愛嬌という事で享受しよう。大絶賛するほどの傑作ではないにせよ、想像している以上には面白い、そんな作品。さて、キャップの方はどうなる事やら…。

 それよか、ファンタスティック・フォーのリブートの話し、どうなった?


 ☆☆☆★★+

 浅野さんの出番が思ってたより少なかったんで、ちょっと辛口に星3つプラス!!