「怪盗グルーのミニオン危機一発」感想


 イルミネーション・エンターテインメント製作、ユニバーサル・ピクチャーズ配給。2010年に公開された「怪盗グルーの月泥棒」の続編。怪盗家業から足を洗い、3人の娘のパパとなったグルーが、ひょんな事から反悪党同盟のエージェントに抜擢されて大活躍?する3Dコメディ・アニメ。

 なお、正しい四字熟語は「危機一髪」だが、おそらく「007危機一発」(現タイトルは「007/ロシアより愛をこめてのパロディと思われるので、全国のチビッコ達が間違えて覚えないよう、親御さんはご注意を。

 さておき。3Dを意識したと思われる、立体感とスピード感満載のアトラクションムービーは健在。パステルのような目にも鮮やかな彩色や、どこか間が抜けていながらも憎めないミニオン達の可愛らしいキャラクターも相俟って、観ているだけで楽しくなる事ウケアイ。
 ただその分、前作同様にストーリー面でのパンチが弱く、あと一歩観がどうにも拭えないのは非常に痛い。決してつまらないわけではないのだが、いちいちの作り込みが浅いというか、例えば3人娘の長女マーゴに色目を使うキザニートアントニオや、ムダに運動神経に長けた次女のイディスをもっと物語に絡めたり、同様にグルーをスカウトするラムズボトム(羊のオケツ)長官もアレの10倍嫌味で小ズルいキャラ、ついでに実は黒幕か裏で今回の真犯人とつるんでました、ぐらいの仕掛けは欲しかったところ。

 あくまで子供向けを狙った作品なのは理解しているつもりだが、その枠に固執しすぎて、悪い意味でコンパクトにまとまっている印象を受ける。ムリに大人向きを狙う必要はないものの、やはり娯楽作である以上、こちらの予想を裏切る嬉しいサプライズを期待してしまう。
 本作に限った事ではないが、ここの作品はCG技術だけならピクサーにも引けをとらないモノを持っているにもかかわらず、如何せん物語とキャラクターの使い方、さらに言うならギャグのセンスとテンポが正直いまいちよろしくない。比較的まだ若いスタジオのせいか、単純な熟練度の問題もそうだが、カートゥーンスラップスティックといったコメディの基礎の部分が、しっかり出来上がってないように見受けられる。
 聞けばコチラ、あの浦沢直樹「PLUTO」のアニメを現在製作中との事らしいが、日本のファンから大ブーイングを喰らう前に、一度他のライバルスタジオに頭を下げてでも、根本から製作論を見直した方がよいのではないかと、妙な老婆心を呈してしまいたくなる。

 それから個人的には、タイトルになっているほどミニオン活躍してないじゃん!!とも思ったが、確かに実際ピンチだったわけだし、メインであるグルーに関しては、あまり大っぴらなタイトルを付けてネタバレになるのを恐れたのだろうと勝手に推測。結果的に、これが案外一番妥当かも、という結論に至った(ナンジャソラ)。


 とにかく、上記のとおり、ただ観ているだけの分には楽しい映画。過度の期待はせず、なんかメカ出てきたよー、大暴れしてるよー、マッスィーンが猛スピードで走ってるよー、ミニオン可愛いよー、と頭を空っぽにして臨むのが正しい鑑賞法かと。

 ハイ、今回もたいして感想になってないまま、その辺で。


 ☆☆☆★★+

 あと新キャラのルーシー、かなりKYでウザいのが鼻につくけど結構好き(笑)、星3つプラス!!


怪盗グルーのミニオン危機一発 Talking dave

怪盗グルーのミニオン危機一発 Talking dave
価格:6,999円(税込、送料別)

怪盗グルーのミニオン危機一発 Talking stuart

怪盗グルーのミニオン危機一発 Talking stuart
価格:6,999円(税込、送料別)