「仮面ライダー×スーパー戦隊×宇宙刑事 スーパーヒーロー大戦Z」感想
東映二大ヒーローが一堂に会するお祭りムービー第2弾。全宇宙征服を企むスペースショッカーの野望を叩くため、仮面ライダーとスーパー戦隊、そして宇宙刑事ギャバンが大共闘を繰り広げる。
前作の時点でかなり食傷地味の観は否めなかったが、今回もまた、目にも鮮やかなヒーロー達が200人単位で画面狭しと暴れまわるため、正直何が何やらゴッチャゴチャ状態。
ストーリーに関しても、冒頭から中盤にかけてはギャバンTypeGこと十文字撃と、イエローバスターこと宇佐見ヨーコちゃんのコンビをメインに話しを進め、クライマックスになった途端、どこからともなくウィザードとキョウリュウジャーが現れ、主役をかっさらっていくという、これまた前作同様、何とも不条理な作り。
現在放送中である事を考慮すると、スケジュール的にこういう編成も仕方がないのかもと思えなくもないが、せめてもう少し、メリハリをつけていただきたかったところ。
さらに細かいところを突くようではあるが、あれだけの歴史あるヒーロー達が大集合したのだから、例えばシャリバンとゲキバイオレット、シャイダーと仮面ライダーバース、シャドームーンとキンタロスの中の人つながり対決&共闘等、思わずファンがニヤリとするようなサービスが欲しかった。
サプライズ的に登場したメタルヒーローキーも、前のオーズと同じくガレオンバスター一発撃って終わりでは、ちょっと消化不良。こういう機会はあと何回もない(はず)なのだから、「まさにお祭り」といった要素をもっと観たかった。
もうひとつ、個人的に一番の不満点を言わせてもらうと、あの初代ギャバンこと一条寺烈が、まずありえない決断と過ちを犯してしまうのは、まったくもって料簡できない。
例によって詳しくは書けないが、コム長官に代わり、銀河連邦警察最高責任者に就任したのはまだヨシとして(おそらく演じられていた西沢利明氏が今年4月に急死されたためと思われる。合掌)、どんな時でも希望を捨てない、諦めない心を教えてくれたあのギャバンが、いとも容易く、まして、出所もよく分からんような胡散臭い情報を疑いもせずに地球を犠牲にするなど、とても考えられない。我々の知っているギャバンなら、まず直感で怪しい影に気づき、撃を泳がせつつシャリバンやシャイダー達に裏を取らせる、ぐらいの事は確実に実行するはずである。
失礼ながら、脚本を担当された米村正二氏は宇宙刑事シリーズをあまりご覧になられた事がないのでは。物語上必然性のある場面だったとはいえ、これは特撮史に残る汚点、最大のミステイクと断ずる。
好きなライターさんの一人なだけに、ファンとして残念でならない。
まあそれでも、これだけゴチャゴチャやりながら娯楽映画としての最低限の体裁は保っている辺りはさすが。スーツアクターさん一人一人はもちろん、生身での危険なスタントアクションもこなしてくれた石垣佑磨くんと池田純矢くんには素直に拍手を送りたい。
何より、軍師レイダー演じる本田博太郎さんの存在感には、ただただ脱帽。立て続けに「藁の盾」を鑑賞すると、その凄さがより理解できるので、ともに未見の方はゼヒ(笑)。
「ギャバンTHEMOVIE」でマクー、そして今回はマドーは復活。という事は、次はやはりフーマは出てくるのだろうか。
エンドロール後を観る限り、不完全な良心回路を持つ、あの赤青半々のヒーローも復活するようだが、ぶっちゃけ、この手のヒーロー大集合ムービーは「スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」が頂点にして員数的にもシナリオ的にも限界だと察するので、次は規模を縮小してでも堅実な作品作りを目指していただきたい。
いくら玩具売りたくても、誰も観てくれなかったら意味ないじゃん!!
☆☆☆★★−
次回作はいっそ、シャイダーがドラゴン殺し振り回してフーマを片っ端から八つ裂きにするバイオレンスムービーに(以下略)、星3つマイナス!!