「オズ はじまりの戦い」感想
ライマン・フランク・ボーム原作の児童文学「オズの魔法使い」。その前日譚を、「スパイダーマン」シリーズのサム・ライミ監督、「127時間」のジェームス・フランコ主演で映画化。
小さなサーカス団のペテン魔術師オズが、竜巻で吹き飛ばされた果てに辿り着いた異世界で、国の存亡を巡る戦いに巻き込まれる。
「アリス・イン・ワンダーランド」のスタッフ製作だけに、映像は非常に華やか。が、肝心の内容に華がないのは如何ともしがたい。つまらなくはないとはいえ、観終わって印象に残っているのは、ミラ・キュニスの「マスク」みたいな緑色の顔と尻だけという有様だった。
傲慢で大ボラ吹きながら、どこか憎めないオズのキャラクターはなかなか面白く、ペテン師ならではのクライマックスはそれなりに見応えがあったものの、そこに到るまでの過程が少々弱い。自分の正体を偽り、周囲から英雄か救世主かと期待されつつ、いつその秘密がバレるのかという緊張感こそ、この手の作品のキモであるが、どうにもその辺が薄く、展開の起伏が乏しく感じられた。
また、悪役の側にもスポットを当て、身を堕とすきっかけまできっちり描いているのはヨシとしても、正直説得力に欠ける。ネタバレは避けるとして、ほんの数時間前に逢ったばかりの男に、何もそこまで。そもそも、そんな純情可憐な乙女然としたマインドの持ち主が、あんなピチピチのエロいスーツ着てるもんか。明らかに異性を誘うためのデザインだろうがと、ツッコミを入れざるを得なかった。
どの年代をメインターゲットにしているのかは存じ上げないが、どうもここ最近、こういった感じのファンタジーが多いように思う。「ハリポタ」に続く次のシリーズを出したいのか、とにかく数撃ちゃ当たる感覚で量産されても、見ているこちらとしてはかなり食傷気味。別にファンタジー映画そのものが悪いわけではないが、どうせ作るなら、もっとワクワクドキドキ(死語)させてくれるような、それこそ「映画ならではの体験」を大事にしていただきたい。
余談だが、かの日本が誇る天才マジシャン・マギー司郎がその昔、地方の営業で白紙の束を一万円札に変えるというマジックを披露したところ、その日の夜に宿の女将さんが尋ねてきて「この紙を札束に変えてください」と真剣な顔でお願いされたそうな。いや、できねぇから。本当にできたらわざわざ地方に営業なんて来てないから(笑)。
☆☆☆★★
すんげぇ簡単だけど、星3つ!!
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