「ぼくが処刑される未来」感想
「仮面ライダーフォーゼ」の福士蒼汰・吉沢亮W主演による、「TOEI HERO NEXT」第2弾。量子コンピュータ「アマテラス」によって完璧に管理された25年後の世界で、未来犯罪者として現在から連れてこられた男が、自らの無実を証明するために奮闘するSFストーリー。
ぶっちゃけて言えば、SF設定といいセットといい、非常にチープでおかしな点だらけ。そもそも、万能コンピュータによって守られた秩序が云々など、「マイノリティ・リポート」や「アイ・ロボット」を観た後では今さら感全開で、新鮮味もヘチマもなし。
加えて、少々ネタバレになるが、過去の冤罪一つでいきなり法改正なんてあるわけはなく、ましてどこから生えてきたかも分からんコンピュータに法の管理をさせるなど、世界中の弁護士から大ブーイング食らうだろうといった疑問点も多く、いくらSFとはいえ、そうした部分を丸っきりすっ飛ばしてしまっているのは正直痛い。
だいたいにして、あの「世界」とは地球全体を指すのか、それとも日本国内、あるいは一部の地域だけを指すのかもさっぱり。少なくとも、公開処刑のテレビ中継が視聴率70%越え、街頭テレビの前で「殺せ!殺せ!」の大合唱するような民度の低さは、良識ある我が国の国民ではありえまい。
その他、細かく突いていけば、出てくるボロは枚挙に暇がない。普段なら、問答無用で星2つ!が定石である。
がしかし、これはまったくつまらないかと思いきや、意外や意外、結構楽しめる内容だったりするのが、実に不思議なところで(笑)。もちろん、ダメすぎて笑えるといった意味ではなく、本シリーズのコンセプトである「特撮ヒーロー番組出演者の新しい魅力を掘り出す」という点を理解した上で観れば、上記した部分も含め、なかなか頑張ったじゃないか、と思える作りだと、個人的には感じた。
主人公演じる福士蒼汰くんの、リーゼントに学ランのハイテンションボーイとは打って変わっての、気弱で言いたい事も言えない臆病キャラ(そういえば誰かが「如月弦太朗が野上良太郎になった」とツイートしていたが、まさに言い得て妙な表現だ 笑)が、困難を乗り越えて成長していく姿もさる事ながら、吉沢亮くん演じる天才ハッカーとその人間関係、そして最後の最後で二転三転するストーリー展開は、想像以上にスリリング。さらに他の登場人物の言動、思惑が、上手い具合に重なり合っていく巧みさは、さすがの長谷川圭一脚本といったところか。
前作の「PIECE〜記憶の欠片〜」同様、ファンムービーとしての意味合いが強く、それ以外の人が1800円払って観るだけの価値があるとは、正直言い難い。また、主演の二人の演技力もまだまだ途上な上、特撮ドラマそのままの技法にややぎこちなさを憶えてしまうが、「これはこういうものだ」と試金石を観るぐらいのつもりなら、サービスデーかレイトショーで鑑賞しても問題はないかと。
ちなみに本シリーズ、すでに第3弾、第4弾の製作が決定しており、次回作の主演はゴーカイレッドの小澤亮太くんなんだとか。ということは、相方はブルーの山田裕貴くんか、はたまたシルバーの池田純矢くんか。あるいはバスコの細貝圭くんの可能性も。ともかく今から楽しみだ。
☆☆☆★★
でも、あの二人はこれから伸びると思うんだ(誰目線?)、星3つ!!
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