「白雪姫と鏡の女王」感想
まず、本作が遺作となった石岡瑛子さんデザインによる衣装の数々が、お世辞抜きに素晴らしい。鮮やかな色彩や装飾やもちろん、そのキャラクターの内面さえも体現したかのような美しさで、一つの世界観、物語そのものを構築していると評して過言ではない。
…というより、本作でトピックすべき点は、正直ほぼここだけ。確かにコメディ色の強い作りで、笑えるシーンもそこそこあり、ストーリーもそれなりにまとまっていたとはいえ、あとは取り立てて褒める点は見当たらず、全体的に可もなく不可もない出来。
初の悪役というジュリア・ロバーツに関しても、さすがアカデミー主演女優賞受賞らしい好演を見せてくれてはいるものの、だからといってそれほどの新鮮味はなく、完全にいつもどおり。別に誰でも良かったんじゃね?とは言わないが、本来の意味での役不足な観は否めなかった。
単純な比較は無粋だと存じているつもりながら、いつぞやの「スノーホワイト」のように、女王の視点から観た王族への復讐劇といった独自のアプローチの一つもあれば良かったのだが、肝心のアレンジ要素も非常に中途半端。ならばいっそ、オリジナルのストーリーを忠実に映像化しつつ、監督なり脚本家なりの「こういう絵を撮りたい、観せたい」といったモノを盛り込んだ方が、と思ってしまう。
それがまさか、エンドロール前のインド映画チックなダンスではない事を心から祈るが、「スノーホワイト」同様、もうワンパンチ、否、ツー、スリーパンチは欲しかったところ。
もっとも、最初からそれほど期待していたわけではないので、思いのほかショックが少ないが(エー)、それにしても、どうしてアメリカ人はこうも白雪姫が好きなのやら。うーむ、オッサンにはよく分からん。
余談だが、主演のリリー・コリンズは、近いうちにコリン・ファレルと競演して、どちらの眉毛が濃いか勝負していただきたい(どうやって?)。むしろ、眉毛同士でコンビ組んじゃえよ、「コリン・コリン」って名前で(寒)。
☆☆☆★★
石岡さんに敬意を表し、オマケの星3つ!