「崖っぷちの男」感想

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 アバター」「タイタンの逆襲サム・ワーシントン主演。ホテルの21階から飛び降りようとする謎の男を軸に展開する、新感覚サスペンス。


 実験的な作風ながら、見応えは充分。新人監督のためか、ややアラの目立つ部分はあるにせよ、終始楽しませていただいた。

 サム演じる脱獄囚が、いつ飛び降りるか知れない緊張感と、一見して破れかぶれの無謀な策に思えるこの行動が、実は綿密に計画されたものだと判明していく様子に加え、様々な人間を巻き込みつつ、その裏に隠された陰謀、裏切りがラストに向けて一気に収束するストーリー展開も面白い。
 また、ジェイミー・ベル演じる脱獄囚の弟と、ジェネシス・ロドリゲス演じるその恋人(?)による極秘作戦が、物語をよりスリリングに相乗させている点もグッド。
 細部を無視して分かりやすく言うなら、「逃亡者」「ミッション・インポッシブル」+α、といった具合か。お世辞にもプロフェッショナルとは言い難い、ちょっとオッチョコチョイな二人の掛け合いが、ドキドキ感を与えると同時に緩衝材としても作用。その意味では、むしろオーシャンズシリーズに近いかもしれない。

 できる事なら、あの二人を主人公にしたスピンオフ映画を一本撮っていただきたいところ。特にジェネシス・ロドリゲスの方は、オッパイはさておき本作がデビュー作ながら、オッパイ以外も非常に存在感のある女優なので、これを期にオッパイもろとも大ブレイクを願う。


 さておき。
 とはいえ、オッパイ一つで…いやオッパイは基本二つだが、いやそうではなく、それだけで手離しに褒めちぎるほど、小生は単純でもイージーでもない。
 確かに、よく練られた内容ではあるものの、それに際して最も重要な部分、つまりは「いつ、どうやって本作戦をプランニングし、且つどうやって二人に実行手順を示したか」が、スコンと抜け落ちているのは、正直痛い。
 刑務所内であそこまで正確なビルの図面が手に入るとは、とても考えにくく、ましてプランとなると、監視の目のある中、ほぼ不可能に近いはず。
 それとも、脱獄した後にあのコンテナの中で、コツコツ計画を練っていたとか?脱獄の件そのものも含めて、いまいちその辺が料簡できない。

 また、詳しい内容は例によって書けないものの、果たしてあの結末で、本当に彼の無罪を立証した事になるのか、甚だ疑問。せっかくいい感じで引っ張ったのだから、もう少し捻りの利いたオチを用意してほしかったところ。
 なんとも残念。

 
 まあしかし、全体的には決して悪くなく、シチュエーションスリラーの新しい切り口としては及第点以上の出来と評したい。スタントなしで挑んだサムの体当たりの芝居と、巧妙な会話劇、そしてハラハラドキドキ(死語)の展開に謎のオヤジジェネシスのオッパイは必見。


 そんなわけで、小生の評価は…、

 ☆☆☆★★++

 星3つプラスプラス!!