「幸せへのキセキ」感想
妻を病気で失ったショックから立ち直れずにいる男が、家族と自分自身の再生のために、仕事を辞めて町外れの広大な家を購入する。しかしそこは、47種の動物の有する閉鎖された動物園だった。
個人的には、巷で言われているほどの感動作とは思わず。とはいえ普通に良いお話しで、ご家族連れや学生が観に行くにはいい内容かなといった具合。
サーフィン中に左腕を鮫に食われたとか、幼い頃母親に捨てられたとか、芸人としてそこそこ売れてるのに母親が生活保護を受けていたとかではなく、自分で分かりきって買った苦労ではあるものの、やはり家族で困難を乗り越えていく姿は、なかなか感動的ではある。
特筆すべきセールスポイントこそないものの、ノンフィクションである以上そんな突飛な出来事がそうそうあるはずもなく、変に御涙頂戴劇をぶち込まれてウソ臭くなるよりは遙かにマシな、いい言い方をすれば安心感のある作り方で好感が持てた。
ただ、元ヒネクレたクソガキ、現ヒネクレた極悪非道のオッサンとしては、コリン・フォード演じる息子のディランから見て、果たしてこの状況はどうなのだろう、本当に父親が本にしたためたほどの結果があったのかと、少々疑問に思ってしまった。
経験則から言わせてもらえば、あの手の子供は、自分の意見を聞いてもらえない、主張を無視されるのが、年齢的にも一番辛い時期である。まして、母親を亡くした寂しさ、父親に理解してもらえない悔しさを胸中に抱えているのなら、なおさらの事。
甘えと言われりゃそれまでではあるが、せめて家を買う時ぐらい、一言相談してあげても良かったんじゃないかと思う。なぜなら、少なからず自分の生活に影響を及ぼす決定を、自分抜きで下されるのは、相手に承認されてないのと同義に他ならない。特に彼のような子供は、そういうところに敏感である場合が多い。
それらを何ら解さない状態で「もっと大人になれ」だの「少しは親も苦労も」だの言われれば、反抗してさらに引き篭もるに決まっている。ものすごい邪推ではあるが、実は著者が思っているほど、当時の著者と息子との関係は修復されていなかったのでは?
しかしそれでは絵にならないから、エル・ファニング演じる同年代のカワイコちゃんを緩衝材役として登場させ、「家族関係はすっかり良好になったぜイエーイ」としちゃったのでは?
できれば後日談のような形でもいいので、息子さんからの視点を描いた作品も発表していただきたい。
しかし余談だが、未だに父親を演じるマット・デイモンに、妙な違和感を感じてしまうのは何故だろうか。
実際、彼も結構な年齢で、プライベートでは奥さんと3人の子供を持つパパだとは知っているのだが、いかんせん小生の中では、「オーシャンズ」シリーズでジョージ・クルーニーやブラピに弄られる小僧役のイメージが付きすぎてしまい、あまり威厳のようなモノを感じられずにいる。
(日本人で例えるなら、既に30代子持ちの安達祐実が、母親役を演じるような)
もちろん、彼自身は非常に優れたアクターであり、小生の勝手な思い込みな事は重々承知しているつもりなのだが、そろそろ、その小僧イメージをぶち壊すほどのインパクトを持った作品、あるいは人物を演じていただきたいと切に願う。
…えー、とまあ、ここまで適当に駄文を並べてごまかして来たけども、実はこれ以上、特に何の感想もないんです(笑)。
良くも悪くもなく、そしてこれといった特徴もない。正直、こういう映画のレビュー書くのが一番苦労したりする(オイ)。
強いて挙げるなら、相変わらずスカーレット・ヨハンソンはいい女だったなーとか、エンドロールの後に眼帯着けたサミュエル・L・ジャクソンが出てきて「そろそろ休暇は終わりだ。さあ、世界を救いに行くぞ」みたいな事言ってくれたらオモロかったのになーとか、娘役のマギー・エリザベス・ジョーンズが「宇宙戦争」の頃のダコタ・ファニングよろしく小うるさかったなーとか、そのくらい…。
とは言うモノの、前述したとおり悪い作品ではないので、興味がおありの方はどうぞ映画館に足をお運びください。全然フォローになってない気もするけども、本作を嫌いな人、「観て損した」と思う人は、そうはいないはずです。多分。
そんなわけで、小生の評価は…、
☆☆☆★★+
どうでもいいけど、あの電動式メジャーちょっと欲しい(笑)、星3つプラス!