2014年5月に観た映画 その3

 はい、続きです。



 『瀬戸内海賊物語』

 内容的には、和製グーニーズといった感じ。本家(?)と比べると、やはりかなりのチープ観は否めないものの、自分達の住む島のピンチに、必死に抗おうとする子供たちと、それぞれ現実を受け入れようとする大人達との対比のドラマが非常によい。

 豪華出演陣の演技も素晴らしく、特に主演の柴田杏花ちゃんの、ボーイッシュさと年頃の女の子らしさが同居する可愛さは必見。あの子は将来、絶対に来ると確信する(笑)。

 敵役(?)のヤンキー二人はちょっと微妙だったけども、冒険活劇とジュブナイルものが好きな人なら是非。

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 『MONSTERZ モンスターズ』

 韓国映画のリメイクだそうだが、とにかく脚本がダメダメ。二人の超能力者の対比がヘタクソすぎて、どちらにも感情移入できず。特に、藤原竜也演じる「怪物」の掘り下げがまるでなってなく、彼がどうしてその能力を得たかはともかく、その年まで生きてきた経緯等が、圧倒的に説得力不足な上に説明不足。一歩間違えれば、ただのアホの子にしか見えない。

 そもそも、世界でもそこそこ有能なはずの日本警察が、相手の視界に入ったらダメと分かっていながら、あえて接近戦に持ち込むのも相当に頭悪いし、まして素人が真正面から電動ドリル持って突っ込んでいくのを傍観とは、無能にもほどがある。せめて閃光弾かスモークグレネード使えよ。最初に対象の視力を奪え。

 誰がこんな酷い本書いたんだ、と思いきや、例のガッチョメンと同一人物だった。聞けば彼、来年公開予定の実写版進撃の巨人にも関わっているそうだが、一映画ファンとして「お前もういい加減やめとけ。10年早い」と、「とりあえず、大友克洋先生に全裸土下座しとこうか、な?」の二言を呈しておく。

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 X-MEN:フューチャー&パスト

 ブライアン・シンガー監督の再当番に加え、歴代メンバーも多数登場と、まさに原点回帰にして集大成といった趣。基本、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンをメインに置きつつ、登場人物それぞれの決断と行動を描いた、群像劇としての完成度も高い。
 アクション面も最大屈指のボリュームとクオリティで、特にブリンクのミュータント能力で開いたテレポートホールは、開いた先の景色までしっかり描き込まれている芸の細かさ。個人的には、大好きなハル・ベリーエレン・ペイジの共演が観られただけでも大満足(笑)。

 余談だが、今回もまたウルヴァリンの尻が丸出しだったのは、やはり監督の趣味だろうか…。

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 万能鑑定士Q −モナ・リザの瞳−

 設定は面白い。ストーリーもまあまあ。がしかし、展開がかなりご都合主義な上、なんとなくオチが分かってしまうのは如何なものか。だいたい、一晩でフランス語をマスターできる記憶力(記憶術?)があるなら、真っ先に必要な言語を覚えるだろ。つーか、本読んだだけで発音とリスニングまで完璧になるなら、スピードラーニングはいらんよ。

 毎回思うが、日本映画界は綾瀬はるかという才能を、まったく生かしきれていない。彼女のルックスと雰囲気だけを基準に、「こういう役が似合うだろう」と適当に当てはめているだけのように見える。いい加減、所属事務所も本気でまともな仕事を探さんと、今の彼女にしかできない役ができないまま終わってしまうのではないかと、勝手な老婆心を呈したくなる。

 プラマイなし。



 ポンペイ

 ヴェスヴィオ火山噴火という歴史的事実を前に、なぜ旧態依然としたロミジュリ展開なんぞをぶち込んだのかも謎だが、今日日の流行なのか、なぜムリヤリな泣かせ要素をやはり強引にぶち込んできたのかも謎。そんなもん、わざわざ紀元79でやる事か?

 そんな事より、チケットカウンター前でどこぞのガキが「♪ポンペイポンペイポンペイ〜」みたいな感じのオリジナルソングを延々と口ずさんでて、心の底からウザかった。あまりにイラッと来たので、ニコりともせずゴミを見るような目でしばらくガン見したったら、真っ赤になって俯きやがった。多分、彼が人生ではじめて自分がスベッたと認識した瞬間だろう。…うん、本編関係ないな。

 



 ブルージャスミン

 セレブから突如貧乏に転落した勘違いオバサンが、押しかけ居候先の妹との生活を経て、人生の真の喜びについて見つけ直し、人として再生していく感動の物語…かと思わせといて、終始勘違いオバサンのままという、ある意味こちらの予想の斜め上を行く内容だった(笑)。

 まあ、どこぞのすぐ近くで火山が爆発しとるのに、奴隷グラディエイターとお姫様がイチャイチャチュッチュやっとるようなポンコツ映画よりははるかにマシだが、綾小路きみまろの漫談的というべきか、あんなダメ人間にはなりたくないなと客観的に観るのが正しい鑑賞法かと。ウディ・アレンらしいブラックユーモアと、ケイト・ブランシェットのキレた演技にも注目。つーか、こういう役こそ綾瀬はるかはやるべき。

 プラマイなし。



 グランド・ブダペスト・ホテル

 いかにも映画通が好きそうな内容と、いかにも映画通が好きそうな豪華俳優陣と、いかにも映画通が好きそうな雰囲気を併せ持つ、いかにも映画通が好きそうな作品。ただ正直、よほどの映画通じゃないとコレを面白いと思える人は少ないと思われる。

 とにもかくにも、ウィレム・デフォーが出てきた時点で、どんな役かだいたい分かっちゃうのは如何なもんか(笑)。キライじゃないけど、あまりに通好みすぎかな、と。

 プラマイなし。


 じゃ、次からはちゃんと書きます。多分。