1933年のラジオドラマ放映以降、様々なジャンルにメディア展開され、今なお広く愛される伝説的西部劇を、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのゴア・ヴァービンスキー監督、「白雪姫と鏡の女王」のアーミー・ハマー×ジョニー・デップ主演で映画化。
我々世代にとって「ウィリアム・テル序曲」を聴いて思い浮かべるものといえば、十中八九運動会か「オレたちひょうきん族」のOP、あるいは山瀬まみの「ゴォ!」であると察するが(ソウカ?)、小生の父親ぐらいになると真っ先に本作のテレビシリーズが出てくるらしい(本人曰く)。タイトルぐらいは聞き覚えがあっても、さすがに白黒テレビ時代のドラマまで視聴した事はないが、馬に乗った時の掛け声は「ハイヨー、シルバー!!」、インディアンと言えば「嘘つかない」と、今現在でも残る定番フレーズから考えても、当時の人気ぶりと影響力が窺い知れる。
まあ、そんなどうでもいい話しはともかく、昨今のリメイク・リブートものと同じく、基本的にはローン・レンジャー誕生とその相棒・トントとの出逢いを描くビギンズストーリー。「パイレーツ〜」シリーズのスタッフが製作しただけあって、冒頭と終盤の列車上での銃撃戦は、古き良き整備檄の手法と最新の撮影技術が融合した、非常に見応えあるシーンだったものの、正直その間の2時間弱は間延びが激しく、かなり冗長に感じられる部分が多かった。
せめてこれが2時間以内の尺、ついでに中盤にも大小のクライマックス、またはそれなりのアクションシーンがあれば、もう少しよい物が出来た気が。もちろん、アクションシーンが全てではなく、ヘレナ・ボナム=カーターの足ミサイル等、他によいところも数多く存在するのだが、そうした箇所を上記した部分が覆い隠してしまっている印象を受ける。
いつも思うのだが、この手の大作映画はその天文学的な制作費に比例し、2時間半、場合によっては3時間近い長尺で撮らなければならない取決めか契約でもあるのだろうか。そういえば北野武初監督作品「その男、凶暴につき」で、撮影したフィルムを編集したところ約20分ほど予定の尺にどうしても足りず、仕方なくただ歩くだけシーンを追加したら、それが評論家達に「あれこそ刑事の歩き方だ!!」と絶賛されてしまったというエピソードがあったが、本作に限って言えば、149分もの上映時間はいらなかったように思われる。
単純に観ていて疲れるというのも含め、例えばスラップスティックのように各エピのテンポを上げ、ついでにムダな場面をカットすれば、2時間以内に収まり、絵としても引き締まったモノになったのではないかと。その意味でも、例によって非常に惜しい作品だったと評さざるを得ない。
まあとはいえ、丸っきりダメダメなわけではなく、残り30分辺りから飛躍的に面白くなるので、それを理解した上で観に行くのなら充分にアリ。歌舞伎と大衆演劇と志村けん氏と並び、50過ぎて顔面白塗りメイクで身体を張るジョニデのスタントにも注目。
☆☆☆★★+
で、あのピーナツ持ってたガキは一体何だったんだ?オリジナルもそういう話しなの?星3つプラス!!
ちなみにこの歌の作曲は、奥田民生氏だったりする(笑)。