「ロラックスおじさんの秘密の種」感想

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 「怪盗グルーの月泥棒」イルミネーション・エンターテインメントによる、3Dアニメーション映画第3弾。自然の木が一本も生えていない、全てが人工物の世界を舞台に、好きな子の気を引くため、少年テッドが本物の木を探すべく奮闘する冒険ファンタジー

 見た目ファンシーなキャラクターを使い、他者との約束の大切さ、強欲の代償、そして自然への畏敬の念を描いている点は、非常に好感が持てる。
 が、如何せん物語の作りが弱く、全篇通すとスッカスカな印象を受ける内容だった。

 主人公テッドが、気になる女の子のために、本物の木を探すのはまあヨシとして、後々冷静になって考えるとただ話しを聞いて種をもらっただけで、その後の展開を含めても、微妙にドラマ性が薄い。
 また、本作のもう一人の主人公にして、世界中の木がなくなる原因を作った張本人ワンスラーに関しても、なぜ町の外の端の端に一人で住んでいるのか、あんなところで何をしているのか、いろいろとおかしな箇所だらけ。
 
 そもそも、本人に贖罪の意思があるのなら、突然やってきたどこの馬の骨とも知らん小僧に大事な種を預けたりせず、自分の家の前にでも植えて地道に増やしていけば良かったのに。街の外には監視の目もないようなので、その方が確実なのでは?

 あのチビ真ん中分けとワンスラーとの関係性も不明な上、どうしてテッドのお婆ちゃんだけがワンスラーの事を知っていたのかのかも、やはり不明。
 さらに言うなら、タイトルにもなっているロラックスおじさんの存在感、重要性ともに病院食の塩味なみに薄いのはいかがなもんか。それなりに個性的な登場人物は揃っているものの、一人一人の役割がうまく機能しないように思えるのは、痛いマイナスポイントと言わざるを得ない。

 ちなみに本作、1971年に発表されたドクター・スース原作の児童書を基にしているそうで、そちらの内容がどうなってるかは当然存じ上げないのだが、どうもアレンジの仕方がよろしくなく、得意のアトラクションムービーとミュージカルシーンで誤魔化した観すらある。

 うーむ、以前「怪盗グルー」を観た時も思ったが、この調子ではピクサードリームワークスと肩を並べるには、まだまだ時間がかかりそう。技術的には高いものを持っているスタジオだけに、今後はシナリオの面の強化に期待。

 あと、テッドのママの吹き替えを、エンドロール観るまでずっと柴田理恵だと思ってたのはナイショ(笑)。


 ☆☆☆★★

 ひょっとして、トータス松本はあの歌のためだけに起用されたんだろうか…、星3つ!!

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小学館ジュニアシネマ文庫 渋谷正子 ケン・ダウリオ 小学館発行年月:2012年09月 ページ数:19


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