「ミッシングID」感想

画像
 ワイルドスピードX2」ジョン・シングルトン監督、「トワイライト」シリーズのテイラー・ロートナー主演のアクションスリラー。
 ごく普通の高校生が、インターネットの失踪者リストで偶然見つけたのは、13年前の自分の写真だった。これまでの人生が偽りであった事に動揺しながらも、突如として現れた謎の組織からの追跡をかわしつつ、彼は真実を探るべく奮闘する。


 実はストーリーも出演陣もほとんど知らず、ただ単に時間とタダ券が余っていたからという、かなり安直な理由で鑑賞した本作。
 調べてみると、「ボーン」シリーズの遺伝子を受け継ぐ正統後継作、なんて触れ込みの割に、批評家からは結構ボロクソ言われたそうだが、それほどひどいとは思わず。もちろん、手を叩いて褒めちぎるような秀作ではないものの、期限切れ間近のタダ券がもったいない内容ではなかった。

 主人公ネイサン演じるテイラーの、空手有段者らしいキレのある動きはなかなか良く、ヒロイン演じるリリー・コリンズのエロかわいさもまたグッド。
 いきなり上半身裸になったり(テイラーが)、セクシーな下着姿を披露したり(リリーが)と、若干、人気急上昇中の若手俳優を起用したアイドルムービー的な趣きもなくはないが、正体不明の敵の追撃をすり抜け、場合によっては反撃に転じる様は、思いのほか小気味良い。

 ストーリー自体に意外性こそないものの、彼を付け狙う謎の組織に加え、味方を自称する胡散臭さ全開のCIA局員に、彼を守るため秘密裏に行動してきた者達等、敵と味方が入り乱れる構図は面白く、ルフレッド・モリーシガニー・ウィーバーといったベテラン勢の好演も相俟って、先の読めないスリリングな展開を形成していた。

(余談だが、「アレ?リリー・コリンズってもっと『ロッタちゃん』みたいなプンプクリンのパッツンパッツン顔じゃなかったっけ?随分すっきりしたなー」と思いきや、それはリリー・コールだった。同じリリーなのに、方や白雪姫、方や悪い魔女に精気を吸われてシワシワになる小娘。この差は一体…)


 しかしそれだけに、ネイサンサイドとその他の視点の使い分けが芳しくなく、ややまとまりに欠ける部分があったのは、非常に惜しい。
 ネイサンの正体、本当の親、狙われる理由。本作のキモともいうべきそれらの扱い方にもう一工夫あれば、まだまだ良いモノができたはず。そうでなくとも、敵側がその辺の事情を何度もベラベラ喋りすぎるのは、何ともいただけない。

 また、ネイサンの友人、ラストの野球場のシーン等、あまりにご都合的に思える箇所も多く、あの辺で萎えてしまうユーザーもいたのではと、察してみる。
 いいモノは持ってるのだが、どうも脚本がよろしくない印象。というより、このライターさんは、あまりアクションスリラーというジャンルを理解していない、あるいは前述のとおり、あくまでテイラーありきのアイドルムービーとして撮りたかったのではないかと、邪推したくなる。
 いくら某剛毛ヴァンパイアと人気を二分した狼男くんでも、売り方というのを考えていただきたいところである。


 そもそもこの邦題、および原題(「Abduction」=誘拐)は完全におかしい。ちょっとしたネタバレではあるが、別に彼のIDが消失したわけではなく、まして誰にも誘拐も拉致も略取もされていない。
 それならば、むしろ「FalseID」(=「偽りのID」)、または単純に「Nathan’sID」でもよかったのでは。
 おそらく、このタイトルから想像していた内容ではなかった、という理由で酷評した批評家もいたに違いない。どの国も、広報がアホだと苦労するなぁ…。


 まあとはいえ、丸っきりつまんない作品でもないので、狼男以外のテイラーの活躍をスクリーンで観たい人なら、観て損はないかと。
 その他の人は、多分DVDでもOK.。そんな感じで。

 
 じゃ、小生の評価は…、

 ☆☆☆★★

 星3つ!


 だからさ、ネタバレしすぎだよこの予告動画。もうちょっと気ぃ使えって!

ワイルド・スピードX2 BD 2012/4/13
GOOD SHOP 楽天市場
※発売日前のものは、発売日が過ぎてからの発送となりますのでご了承下さい。ポール・ウォーカー タイリー


楽天市場 by ワイルド・スピードX2 BD 2012/4/13 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル