分数と平成生まれについて
最近の話。
つい先日から我が職場に、この前から中学を出たばかりという若人が出入りするようになった。
子供の頃に観ていたヒーロー番組が「アギト」と「ガオレンジャー」だと聞いた時は、驚愕のあまり軽く目眩を覚えたのはこの際置いといて、普通なら高校にでも通っている年頃に、こういう仕事(どんな仕事かは秘密)をしているだけに…まあ、一概には言えないところではあるが、当然のように、というか何と言うか、とにかく漢字の読み書きと計算、それも小学校低学年レベルの問題が、さっぱり出来ない。
どんな仕事でもそうだが、この二つが出来ない事には、正直お話しにならない。一体どの程度のレベルなのかと、比較的簡単な分数の問題を出してみたところ、数秒間フリーズした後、あっさりとギブアップしてしまった。
オイオイ、これは相当に重症だぞと白目を剥く小生に対し、何を思ったか彼は逆ギレ気味にこう答えた。
「だって、意味が分からんもん。分数と分数を足すって、どういう事なん?」
ああそうか、彼は計算がどうこうより、分数同士を足し引きするイメージが出来てないのだな。おそらく、学校で計算の仕方だけ教えて、理屈を教えてなかったのだろう。もしくは彼が聞いてなかったか。
ならば、と、ちょうど仕事もヒマだったので、自分なりに出来る限り分かりやすく、図に描いて説明してみる事にした。
「ええか若いし。当たり前っちゃー当たり前じゃけど、分数っちゅーのは1つのモノを何個かに分けたモンだろうが。例えば、ケーキ1ホールを真っ二つに切ったんと、3人分に切り分けたんを思い浮かべぇや」
(下図参照)
「で、1/2と1/3を足すっちゅーたら、切ったケーキを1ピースごと持ってきて、その合計はナンボかって事じゃろうが。でも、これじゃあよぉ分からんぃのー」
(下図参照)
「じゃあ、こんなぁどうするかっちゅーと、2つのケーキを同じ回数切るんよ。そしたら、大きさも同じになろうが。分母を揃えるっちゅーんは、こういう事ぃや」
(下図参照)
「あとは切ったケーキを数えるだけぃの。1/6が5つあるんじゃけぇ、正解は5/6.これで理解できたか?」
(下図参照)
内心、こんな説明で分かるんかいのぉと思っていたが、当人は「オオ、なるほど!」と意外なほどの喜びよう。なんでも、今まで本当にまったく意味不明だった分数の足し算が、この説明で一発で理解できたとか。
実際、本当に理解できたのかは分からんけども、ともかく、やはりどんなものでも理屈をちゃんと理解するというのは大事なんだなーと、改めて実感。
まあ、小生が上のような理屈に気づいたのは、中学生になってからなんだが…。
さて、これから彼にピタゴラスの定理を教えんといかんらしいが、果たしてどう説明するべきか。彼、√(ルート)はもちろん、乗数もよく分かってないっぽいし…。
つーかこれ、小生がやらんといかん事か?